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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第50章
そして跨ったことで自分の尻と太ももで感じる匠海の逞しい躰にも、鼓動が跳ねる。
今日、クリスの膝の上に乗るリフトをし、その時でも、
(男の子ってやっぱり細くても、骨格が逞しいんだな……)
と思ったが、匠海はもう22歳の立派な成人男性――。一見スレンダーに見えるのに、筋肉で引き締まっている美しい男の躰だった。
匠海の右手がヴィヴィの腰に回され、左手が目の前の小さな顔へと伸ばされる。
頬の輪郭に沿って大きな掌で包み込まれた瞬間、ヴィヴィの華奢な躰がぴくりと震えた。
ヴィヴィの下唇を、匠海が親指の腹で辿ってくる。
その刺激だけで、ヴィヴィの胸がとくりと波打つ。
(お兄ちゃんが、ヴィヴィに、キスしようとしてる……)
静かだった灰色の瞳にちろりと宿った欲望の炎を、ヴィヴィは見逃さなかった。
匠海の顔が近寄ってくるのが、スローモーションで視界に映し出される。
「瞼、閉じろ」
静かにそう命令してくる匠海に、ヴィヴィは初めて心の中で反抗する。
(や、だ……お兄ちゃんとキスしてること、五感全部使って、感じたいの……)
最初に触れたのは、匠海の高い鼻。
次に感じたのは、少し角度を変えて触れてきた張りのある唇。
少し離れたかと思ったそれは、徐々に強く押し当てられ、ヴィヴィの下唇を己の唇で食んだ。
ぬるりと濡れた舌の感触を感じ、ヴィヴィの長い睫毛がふるりと震える。
唇を舐めとられたかと思うと、軽く啄ばむ様に吸い付かれる。
それは直接的に躰に火を付けるような強い刺激ではなかった。
だが、とてつもなく甘い――。
まるで、壊れ物を扱うような、大事なものを壊さないような慎重さを含んだ、優しい口づけ。
「お兄、ちゃん……好、き……」
ヴィヴィの濡れた唇から、甘い吐息と共に、気持ちが零れ落ちる。
しかしその薄く開かれた唇に、何か濡れたものが強引に捻じ込まれた。
「……っ!? んっ……、ふぅ……」
いきなり暴かれた口内に、ヴィヴィが苦しそうな声を上げる。
咄嗟に躰を引こうとしたヴィヴィの腰を、添えられていた大きな掌が、逃がすまいとさらに匠海へと引き寄せられる。
頬に添えられていた掌もがっちりとヴィヴィを抑え込み、さらに深く匠海の舌が侵入してくる。