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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第51章
翌朝、4時。
ヴィヴィの隣に横たわっていた匠海の躰が、きしりという小さな音を立てて覚醒した。
薄暗い寝室の中、ベッドサイドのランプの灯りに照らされ、妹の白い顔が浮き上がって見える。
匠海は、まるでそこに本当に存在しているのか確認するように、掌で触れるか触れないかくらいの距離でヴィヴィの躰の線を辿る。
黒いシーツの上に横たわった、白く抜けるようなきめ細やかな肢体をじっと見つめていた匠海は、やがてキングサイズのベッドの隅に捨て置かれていたナイトウェアに手を伸ばすと、起こさぬよう気遣いながら着用させた。
白いナイトウェアを纏ったヴィヴィの躰を軽々と持ち上げた匠海が、寝室から出て、ヴィヴィの私室へと足を踏み入れる。
その奥の妹の寝室へと運び入れると、起こさぬようにそっとベッドの上に横たえようとした。
が、その寝室の主であるヴィヴィは、手を放そうとした匠海の首に両腕を伸ばして縋り付いた。
ぐいと力任せに引き寄せられ、上体を崩した匠海が、スプリングに片手を付く。
そして自分の唇に吸い付いているヴィヴィに気づき、やがてその小さな頭をあやす様に掌を添えた。
ヴィヴィは懸命に、昨日匠海に教えてもらったように、自分の舌を匠海のそれへと絡ませる。
「んっ……ふぅ……ぁっ」
自分が匠海を快楽で支配しようとしているのに、零れ落ちるのはヴィヴィの甘い吐息だけ。
ヴィヴィは自分の後頭部に添えられた匠海の掌を握りしめると、自分のささやかな膨らみにあてがった。
名残惜しそうに唇を離したヴィヴィが、欲望に濡れた瞳で匠海を見上げる。
「お兄、ちゃん……、もっと……」
再度匠海の唇に自分のそれを寄せたヴィヴィだったが、それは匠海によって阻まれた。
「馬鹿。今やったら、今日スケートできなくなるぞ」
匠海のその静かな正論に、その手を握っていたヴィヴィの掌から、やがて力が抜け落ちる。
(………………)
確かに匠海の言うとおり、今日も双子プログラムの振り付けの続きがある。
自分が休むとクリスだけでなく、コーチや振付師にも迷惑がかかるということくらい、ヴィヴィだって分かっている。
「……う、ん……」