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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第51章      

「はい。私のFPはバレエ『眠れる森の美女』なのですが、美女を眠りにつかせる悪の精が、よくこれをやってます。『私』は『貴方』を『殺す』~っ! て」

 そうおどけて見せるヴィヴィに、女子アナもテレビクルーからも笑いが起こる。

「色々楽しめる振付や仕掛けが盛りだくさんのお二人のペアプログラム、とても楽しみにしています。頑張ってくださいね!」

 そう締めくくって、THE ICEの番宣用の取材が終了した。





 その日の夜の練習を終えた双子は、篠宮邸へと戻った。

 朝比奈の出迎えを受け、連れ立って3階へと上がった時、

「あ……そっか、兄さんもう、イギリスなんだよね……」

とクリスが匠海の私室への扉を見つめながら呟いた。

 匠海は、ヴィヴィがキスで誘惑した日の夜は仕事が忙しく、成田空港近くのホテルに宿泊し、そのまま早朝便で渡英した。

「うん……」

 静かにそう相槌を打ったヴィヴィを、クリスが片腕で自分の胸へと抱き寄せる。

「ヴィヴィ……寂しくなったら、僕のところ、おいで……?」

 「お兄ちゃん子」のヴィヴィが悲しんでいるのではと、そう慰めてくれるクリスを見上げ、ヴィヴィは微笑んでみせる。

「ありがとう、クリス。じゃあ、今度……色んな方法で、低血圧のクリスを起こしてみるね……」

「……え……?」

「“こより”で鼻つつくとか、こしょう振り掛けてみるとか、ドリアン枕元に置いてみるとか……」

「や、やめて……」

 引き攣った顔でそう突っ込んだクリスに、「濡れタオル、顔に被せるとか……」と続けたヴィヴィに、一部始終を後ろに控えて聞いていた朝比奈が、

「お嬢様……それ、死にますから……」

と呟いたのだった。

 ゆっくりと湯に浸かって就寝準備を終えたヴィヴィは、朝比奈に「おやすみ」を言うと、リビングの照明を落とした。自分の寝室へと下がろうとした足が、ふと止まる。

「………………」

 ゆっくりと振り返ったヴィヴィは、匠海の私室への扉へと歩み寄り、静かにその扉を開いた。

 何の光も届かない、真っ暗闇のリビングがそこにはあった。

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