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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第51章      

 土曜日はバレエスクールでみっちりとしごかれたヴィヴィは、翌日の日曜日、3回転アクセルの映像分析をしてもらった。そこには今シーズン、密着取材の依頼を受けた『情熱大陸』の、毎日放送のクルーも同席していた。

「東京大学大学院、新領域創成科学研究科、石井 直方です。人間環境学専攻、健康スポーツ科学分野を扱っています」 

 そう紹介しながら名刺を渡されたヴィヴィは、その肩書にすこし怖気づきながらも笑顔で挨拶した。

「はじめまして、石井教授。篠宮ヴィクトリアです。ヴィヴィって呼んでください」

 人好きしそうな風貌の石井教授と、その助手の生徒達にぺこりと挨拶すると、双子チームのコーチ陣も紹介され、分析方法の説明を受けた。

「先にこちらの計測をしましょうか。接地時間と跳躍高からばね能力を算出し、滞空時間でジャンプ力を算出します」

 助手がそう言いながら、ストレッチルームに機器をセットする。

「ばね能力、ですか?」

 ヴィヴィがそう尋ねると、

「ばね能力が優れていると、高く飛べたり、遠くに飛べたり、素早い方向転換、切り返しができます」

と助手が説明する。

「お待たせしました。では今から、垂直跳び測定・連続リバウンドジャンプ測定・ハードルジャンプ測定・ドロップジャンプ測定・フットワーク測定・ステッピング測定をします」

「は、はいぃ……」

 助手の説明に、なんだか圧倒されたヴィヴィが情けない返事をする。

「大丈夫。やることは簡単な測定ですよ」

 石井教授がそう笑い飛ばしてくれ、ほっとしたヴィヴィは測定を難なく終えた。休憩を挟み、リンクへと移動した一行は、

「では、次はこの3次元ビデオ動作解析システムで、映像解析をします」

と、その後細々とした説明をしてくれ、実際にハイスピードカメラでの撮影に入った。

「3回転アクセルを何本か飛んでください。クリーンに降りれた時と、転倒した時の違いを比較します」

「はい」

 ヴィヴィは反射マーカー(白いピンポン玉状の物)を練習義に装着し、指示通りにカメラの前でジャンプを繰り返した。

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