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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第51章
おとなしくランチバックを持ったヴィヴィは、いつも一緒に食べているクリスと、今からランチに行こうとしている数人のクラスメイトと合流すると、芝生が一面に広がる中庭へとやって来た。
「もう2年の夏だもんね~。そろそろきちんと進路、考えなきゃ」
手にしたラップサンドを頬張りながら、カレンが話を再開する。
今日朝一のチューターグループで配られた進路調査票は、ヴィヴィだけでなく多くの生徒に不安や焦りを与えていたようだ。
「カレンは? 大学進学組でしょ?」
向かいに座ったクラスメイトのケイトが、炭酸を飲みながら尋ねる。
「う~ん、一応ね。でも……まず日本か英国か、USAかさえも決まってないよ」
カレンが肩を小さく上げてみせる。
「そういうケイトは?」
お洒落やファッションが三度の飯より大好きなケイトは、満面の笑顔で口を開く。
「私はフランスの服飾専門学校に行くのが、小さい頃の夢なんだ~!」
「かっこい~っ! 将来はデザイナー志望?」
女子がきゃあきゃあと騒ぎ立てる。
「うん! 自分のブランドを持つのが、夢なんだ」
そう希望一杯に語るケイトは、とても晴れやかで自信に満ち溢れていた。
「ヴィヴィ達はさ、東京から離れられないだろ? スケートあるし」
マイクが隣り合って芝生に腰を下ろしている双子に、そう話を振ってくる。
「う~ん……。実は、大学にリンク持ってる中京大学から、うちに来ませんかって、お誘いが来てる」とヴィヴィ。
「あと、リンクを持ってる、関西大学からもね……」とクリス。
「名古屋と大阪か~。遠いな」とマイク。
「うん……。それにヴィヴィは、ずっとマムにコーチして貰いたいから、東京から離れる理由もないんだよね」
「僕も……」
「そうだよな~。俺は、早稲田受ける予定~。双子も受けない? スポーツ推薦でいくアスリート、多いじゃん?」
アレックスがそう言って双子を見比べるが、ヴィヴィは「う~ん……そだねえ……」と唸る。
「クリスは?」
何も返事をしないクリスに、アレックスが矛先を向ける。
「僕……? 僕は、兄さんと、同じとこ……」
「ふうん、もう決めてるんだ。クリスは、しっかりしてるもんね~」
ケイトがそう相槌を打ったが、その数秒後、