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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第52章
「うふふ~。やっぱり、『弟』ってこんな感じなんだろうな~。甘えちゃって、可愛い~♡」
クリスの頭を抱きしめ返し、楽しそうにそう言ったヴィヴィだったが、
「僕、『お兄ちゃん』……だしっ!」
とクリスは絶対にそこは譲らないのだった。
その後、クラスルームに戻った双子が、
「「お騒がせしました。話し合った結果、一緒に東大目指すことにしました」」
と声を揃えて皆に謝罪と報告をすると、総勢20名のクラスメイトは笑顔で迎えてくれた。
「そっか~。分かった。私達も応援するよ」
「クリス、良かったな~!」
「こうなったら、絶対双子で東大受かれよ? そしたらオリンピック金メダルに並び、BST史上、稀にみる快挙だ!」
そう口々に暖かい言葉を掛けてくれる皆に、クリスがぺこりと頭を下げた。
「さっきは、ごめん……。それと、心配してくれて、ありがとう……」
クリスのその素直な謝罪に、幼馴染 兼 クラスメイトは皆、ほっと胸を撫で下ろしたのだった。
しかし後日――。
「っていうかさ~。クリスがヴィヴィの学力レベルに合わせるという、選択肢はなかったわけ? そっちのほうが、合格確実じゃない?」
家族でディナーの席を囲んでいた際、ヴィヴィがふと疑問を口にする。
「ありえない……。ヴィヴィは『やれば出来る子』だ。お兄ちゃんの僕が、保証する……」
クリスはそう言い切ると、ぱくぱくと目の前に供される食事を平らげていく。
「………………っ」
(な、なんじゃそりゃ~っ!?)
ヴィヴィは絶句したのち、そう心の中で叫んだ。
そしてそんな双子を、呆れた様子で見守っていた母ジュリアンは、
「うちの子は『やれば出来る子』って親から言われる子供って、大体が残念な結果になるのよね~」
と突っ込み、それを隣で聞いていた父グレコリーは、ただ愉快そうに笑っていたのだった。