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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第52章       

「入会します! お、お布施っ、がっぽがっぽ貢ぎます!」

 そう悪ノリするヴィヴィの口を、一部始終を後ろから見ていたクリスが、大きな掌で塞いだ。

「ヴィヴィ……、引かれてるから……」

 これ以上、浅田の中でのヴィヴィの株が暴落しないよう、冷静にそうたしなめるクリスと、口を塞がれながらもモゴモゴ何かを言い募るヴィヴィに、浅田姉妹は顔を見合わせて爆笑したのだった。

 その後、勢揃いした国内外の豪華なメンバーと一緒に、オープニングとエンディングのダンス、女子と男子に分かれたグループナンバーの振り付けを受けた。

 双子は、その後に行われた宿泊しているホテルでの食事会へも参加し、久しぶりに会うスケーター仲間との再会を喜んだ。

 ヴィヴィはルームメイトとなった、日本アイスダンサーのマリア渋谷と部屋へと戻り、それぞれ入浴を済ませて寛いでいた。

 アメリカのミシガン大学に通うマリアの学校生活の話を、興味深そうに聞いていたヴィヴィだったが、

「ヴィヴィ……お勉強の時間……」

 そう『教育兄』が現実を突き付けてきたので、ヴィヴィはマリアに別れを告げ、クリスの部屋へとすごすごと付いて行った。

「あれ? クリスも、アルフレッドと同室だったんだ?」

 5部屋離れたクリスのルームメイトは、マリアの兄のアレフレッド渋谷だった。床にストレッチマットを引いて片腕立て伏せをしていたアルフレッドが、入ってきたヴィヴィに気付く。

「お? 双子ちゃん、今から勉強するの? OMG~。なんて真面目なんだ……。じゃ、俺はヴィヴィの部屋で筋トレするわ~」

「ご、ごめんね?」とiPadと筆記用具を片手に、申し訳なさそうに謝るヴィヴィ。

「気にすんな。頑張れよ~」

 ストレッチマットをくるくる巻いて立ち上がったアルフレッドは、人好きする笑みを浮かべ、出て行った。

「じゃ、さっそくやっちゃいますか~」

 ヴィヴィはクリスが使っている壁際のベッドによじ登ると、壁に背を預けて予備校の講義を受講し始めた。クリスもその隣に腰を下ろすと、同じように受講を始める。

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