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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第53章          

「ヴィクトリア篠宮 &クリス篠宮」

 アナウンスと共に、暗いリンクにすっとスポットライトが灯り、ヴィヴィが現れる。大歓声の中、『美しき青きドナウ』が流れ始める。

 朝靄のような弦のトレモロ の中から、幻想的なホルンが姿を現す冒頭。

 社交界デビューの舞台である宮殿に忍び込んだヴィヴィは、きょろきょろとあたりを見回すと、胸の前でうっとりと指を組み、デビュタントとなる大人の自分を夢見る。

 誰もいない広いリンク、チュチュの裾を持ち上げて淑女の礼をしたヴィヴィは、一人でワルツのホールドを組んでウィンナ・ワルツを踊り始める。

 そしてもう一人、宮殿に忍び込んだクリスが、スポットライトの中現れる。空色の燕尾服に身を包んだ、リアル王子様状態のクリスに、多くの女性ファンから黄色い声が上がる。

 リンクの奥で滑るヴィヴィに気づかないクリスは、コミカルに見えるほど格好つけてポーズを取り、こちらも舞踏会で紳士としてエスコートする自分を夢見ながら、踊り始める。

 そしてヴィヴィを見つけたクリスは美しくスピンを決めて、ヴィヴィを誘惑する。可愛らしい振り付けで、突然の珍入者に驚いて見せるヴィヴィ。

「『貴方』は『美しい』」

「『私』と『貴方』、一緒に『踊り』ましょう」

 そう、恭しくバレエの所作でマイムを表現するクリスに、ヴィヴィは両手で頬を包み、恥ずかしそうにする。

 両手を腰に添え深く腰を折り、ダンスを申し込むクリス。

 両腕を広げ、透き通るようなチュチュの裾を持ち上げ、膝を折り応えるヴィヴィ。

 ワルツポジションで、優雅に3拍子のウィンナ・ワルツを滑り始める双子。

 『クリスは頑張ってヴィヴィをエスコートして、鼻高々、満足げな表情で滑って』と言った吉野先生のアドバイス通り、クリスの表情があまりにも得意げで、ヴィヴィは思わず笑ってしまう。

「笑うな……」

と耳元でクリスに囁かれ、ヴィヴィは表情を引き締める。

 サイドバイサイドでツイズル左右回転を、ほとんどズレもなく決めた双子に、拍手が起こる。

 そして畳み掛けるように、サイドバイサイドで双子同時のトリプルアクセル。

(決まった~っ!!!)

 ヴィヴィは心中でガッツポーズを決める。再度ワルツポジションを組んだクリスの表情も、晴れ晴れとしていた。

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