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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第54章
男子グループナンバーのリハ中に撮られたものもあれば、滞在先のホテルでのリラックスした様子や、名古屋観光時の動画まである。
「わ~、皆、こんなことしてたんだ!」
ヴィヴィの憧れの浅田も、動画の中で能の型を披露し、弾けんばかりの笑顔を見せている。
「僕達、勉強してる間、撮ってたんだろうね……?」
ホテルの廊下で踊ったり、どっきり大作戦をしたりしているスケーター陣を見て、クリスがそう呟く。
「ね~」
ヴィヴィはちょっと羨ましいなと思いながらも、
(受験生だし、しょうがないか……)
と、あまり仲間に入れていないかった事に肩を竦めた。
画像も終わりに近づき、出演陣皆の名前が表示され、『Thank You!! THE ICE2019』という文字で締めくくられたと思った、その時――、
「「あ……っ」」
双子が同時に口を開く。
動画の一番後に現れたのは、ホテルのベッドの上、壁に背を預けながら、iPadを膝に乗せてお互い凭れて眠っている双子の映像だった。画面には、『Good Night! SHINOSHINO′S (-_-)zzz……』という文字が足されている。
「あはは、全然撮られてるの、気づかなかったっ!!」
「アルフレッド……、悪戯っ子め……」
ヴィヴィが爆笑する傍ら、クリスはそう言って悔しそうな顔をしている。
「あっ! マリアとアルフレッド、私達に部屋を提供してくれてる間、これ編集してたんじゃない? 『アルフレッドとやることあるから』ってマリア言ってて、ヴィヴィ、何だろ? って思ってたの」
「たぶんね……。アルフレッド、器用だな……」
クリスは感心して、胸の前で腕を組んだ。
「ヴィヴィ、これ動画サイトにアップしても大丈夫だよ~。別に変な映像じゃないし」
「僕も……。あ、でも、ヴィヴィの可愛い寝顔、不特定多数の、男共に見せるの、ちょっと嫌かも……」
自称シスコンのクリスの発言に、ヴィヴィは乾いた笑いを上げた。
「じゃあ、ヴィヴィの寝顔、モザイク入れてもらう?」
「いや……それは、やめたほうが……」
「そ……?」
クリスが微妙な表情をしたのを、ヴィヴィは不思議そうに見返したが、
「じゃあ、僕達はOKって、メールしておこう……」
とクリスがiPadでメールを打ち込む。