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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第54章         

「ヴィヴィのHPにも載せるから、動画サイトのURL聞いておいて?」

「OK……」

 その後動画サイトにアップされたそれは、かなりの再生回数を誇ったらしく、渋谷兄妹は大満足だったそうだ。





 
 8月中旬。

 双子は何故か、東京大学の赤門の前にいた。

 真夏の日差しがきつくて日陰を探したヴィヴィは視線の先、こちらに歩いてくる真行寺の姿を見つけ、顔を綻ばせる。

「やあ、待たせたかな?」

 真行寺のその第一声に、ヴィヴィは笑顔で首を振る。隣に立っているクリスは、『どういう関係さ?』という表情で二人を見比べている。

 何故双子がここにいるのか――、話は数日前に遡る。




「あ~あ……。兄さんの帰国中に、東大案内してもらう、つもりだったのに……」

 勉強中そう小さく呟いたクリスに、ヴィヴィは顔を上げる。

「え……?」

「ああ、ごめん……。何でもない……」

 集中していたヴィヴィの邪魔をしてしまったと、クリスが謝ってその頭を撫でてくる。

「クリス、大学見学行きたいの?」

「うん……ほら、モチベーションも、上がると思って……ヴィヴィの」

「ふうん……。私、東大に知り合いいるよ?」

「え……? 本当に……?」

 瞼をパチパチと瞬いているクリスに、ヴィヴィはうんと頷き、スマートフォンで真行寺に電話をしたのだ。





「こんにちは。3ヶ月ぶり……かな?」

 そう言って爽やかな笑顔を見せてくれた真行寺に、ヴィヴィも笑顔で答える。

「はい。あの後、連絡もせずすみませんでした」

「大丈夫。数日後、匠海さんから連絡あったよ。クリス君だよね? 初めまして」

「初めまして。今日はお忙しいところ、時間を取って頂きありがとうございます」

 クリスが流暢にお礼を言って、ぺこりと頭を下げる。

「いえいえ。僕、フィギュア大好きだから、クリス君に会えるの楽しみにしてたんだ。そうそう、今日は『おまけ』がいるんだけど、いいかな?」

 真行寺のその言葉に、背の高い彼の後ろで先ほどからちらちらこちらを伺っている少女に気づく。

「あ……もしかして……?」

「そう、妹もつれてきたんだ」

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