この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第54章
兄弟がぎゃあぎゃあ騒いでいるのが耳に入ったのだろう、玄関ホールの奥からこの屋敷の主――兄妹達の祖父母が現れた。
「いつまで経っても入ってこないと思ったら、何やってるの、あなた達……。ほら、早く入って。一年ぶりの再会を祝福しましょう!」
そう呆れたように皆の顔を見回した祖母は、苦笑しながら屋敷へと皆を招き入れた。
やっとヴィヴィを抱擁から解放した匠海は、すでに興味を削がれたヴィヴィには目もくれず、父と会話をしながら玄関ホールへと入っていく。
ヴィヴィは使用人達が家族の荷物を運んでくれているのを視界の端に入れながら、小さく息を吐くと、ゆっくりと涼しい屋敷の中に足を踏み入れた。