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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第57章          

「あら、やっと来たわね、双子ちゃん! さあ、叔母さん達によくその顔を見せて!」

「ああ、一年という月日は、本当に子供を大人に変えるね~」

「オリンピック見てたぞ! もう、みんなハラハラドキドキしたんだからな!」

「そうよ~っ! 特にクリス! SPが3位だったから、もう生きた心地がしなかったわ!」

 総勢20数名の親族がそう口ぐちに双子に話しかけ、それぞれ一つずつ笑顔で返事とお礼を返していく。

 そして大人はもちろん、自分と同じかそれより下の従弟妹達が、金メダルに瞳を輝かせているのが、双子には印象的に映った。

 特に同年の従姉のサラが、7つ下の弟のジムの首にメダルを掛けてあげているのが可愛くて、ヴィヴィは一緒に写真を撮ってもらったりした。

「ヴィヴィ! 僕も、オリンピック出るんだっ!」

とジムが嬉しそうに、メダルをかけた胸を反らす。

「へ~、何で出る? テニス? スキー? それとも水泳?」

 ヴィヴィが視線の高さを合わせてジムを覗き込めば、

「もちろん、サッカーだよ!」

と可愛らしい答えが返ってくる。

「さ、サラ……。この途轍もなく愛くるしい弟、日本に連れ帰ってもいいかしら?」

 ヴィヴィが鼻息荒くその姉のサラに問えば、

「いいけど、じゃあ、弟のクリス、置いてってよね?」

と返してくる。

「いや、何度も言うけれど、僕……兄だし……」

 そのクリスの定番の突っ込みに、サラとヴィヴィが笑い転げる。

 賑やかに進んだディナーの席も2時間経ち、食事を終えた子供達はサンルームへと一足早く移動して、遊ぶことになった。

「やい、クリス! 今年こそ、絶対に勝ってみせるぞ!」

 毎年そう言いながらクリスに負かされている従弟のジョンが、そう宣誓布告をすると、他の従兄弟達が面白そうにテーブルサッカーゲームの周りに集まってくる。

「いいぞ~! やれやれ、ジョンっ!」

「こてんぱんに、やっつけちゃえよ、クリス!」

 そう盛り上がる男の従兄弟達を尻目に、女子はソファーで女子話に花を咲かせる。

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