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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第57章
エディンバラ、2日目。
午前中リンクで汗を流した双子は、昼食を挟み、いつものように勉強していた。
「ヴィヴィ、それ、間違ってない……?」
「え? そう?」
双子が頭を突き合わせ、ライブラリーで世界史の問題集を解いていると、
「ヴィヴィ、クリス~、お茶の時間だよ~」
と、従姉のサラが誘いに来た。
「え……あと、5分……」
切りの良いところまでやりたいと、クリスがそう呟いてみるが、もちろん口の達者なサラに敵う筈もなく、
「勉強ばっかじゃダメだよ~っ!! はい、お茶お茶!」
マキシ丈のキャミワンピに、麻のざっくり編みのボレロを纏ったヴィヴィを、サラが嬉しそうにその手を引いて先を歩いていく。
「はいはい……」
クリスはそう返事をすると、二人の後を付いていく。
ライブラリーのすぐ近くのサンルームには15人程、親族が集まっていた。
どうやらもうすでに茶会は始まっていたようで、備え付けの大型のソファーやオットマン、椅子に腰を下ろした面々は、茶器を手に昼下がりのアフタヌーンティーを楽しんでいた。
ヴィヴィはさっと視線を走らせ、空いている席を探す。サラ達女子が座っている傍の椅子と、匠海が座っているソファーの隣の椅子が空いていた。
「ヴィヴィ、こっち来る?」
サラが指で椅子を指すが、ヴィヴィは小さく首を振って笑って返す。
そして匠海の座っている一人掛けにしては大きすぎるソファーに近づくと、その隣の椅子が空いているにも拘らず、
「お兄ちゃん、詰めて?」
と五分袖のボレロから伸びた細い腕を、その背凭れに付いて促す。
匠海は何か言いたげにヴィヴィを見上げてきたが、隣の空いていた椅子にクリスが腰を下ろしながら傍のダニー叔父さんと喋り始めたのを見て、ソファーの端に詰めてくれた。
ヴィヴィは礼も言わず、当たり前のように匠海の右隣に深く腰を掛ける。
軽く肩幅に開けた匠海の長い脚と、薄紅の花がプリントされたボヘミアン調のマキシ丈ワンピースのヴィヴィの足が、触れるか触れないか位の距離を保っていた。
「ウバでよろしいですか?」
背後から執事にそう問われ、ヴィヴィは頷く。
「うん。ミルクたっぷりめで」
「どうぞ」
「ありがとう」