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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第58章
エディンバラ滞在、3日目。
双子は昨日と同様、午前中をリンクで過ごし、屋敷に帰宅して昼食を取った。
(そろそろ、日本食が恋しくなってきた……)
食事を終えたヴィヴィはそう思いながら、クリスと勉強の為にライブラリーへと向かっていた。
「あ、ヴィヴィ! クリス! お帰り~」
「あ、ただいま、サラ、ジム。……プール行くの?」
ヴィヴィは、声をかけてきたサラが手を引いている弟のジムが腰にしている浮き輪を見て、そう指摘してみる。
「そう。ジムが『毎日プールに連れてけ!』って五月蠅くて」
サラはジムの頭をぽかりと叩く真似をする。
「だって、プール、楽しいじゃん!」
ジムのその無邪気な笑顔が眩しくてか、隣のクリスがよしよしとその金色の頭を撫でている。
「あは。お姉ちゃんも大変だ!」
「そうよ~。あ、双子も泳ごうよ~?」
「ん~。どうしようかな~、クリスは?」
「1時間なら、泳ぐ時間、取れるよ……」
『教育兄』は斜め上を見ながら頭の中で、スケージュールの調整をしたらしい。
「ま、取りあえず見に行こう」
「行こう!」
ジムが嬉しそうにそう言って、クリスの手を握って先を歩いていく。
エディンバラの屋敷には、屋内の温水プールがある。
というのも、夏だというのにエディンバラの日中最高気温は18度、夜ともなれば10度まで下がるほど寒いのだ。
ライブラリーのある方とは反対側の1階の奥、一面ガラス張りのそこに4人が辿り着く。
25メートルもある個人宅にしては大きなそこには、既に先客がいた。
母の兄・ダニー叔父さんの娘と息子達。いずれもヴィヴィ達より匠海との年が近く、匠海は大体そのメンバーと一緒にいることが多かった。
(まさか……)
ヴィヴィはガラス越しに匠海がいないかと確認すると、案の定、窓際のジャグジーにこちらに背を向けて座る、黒髪のその人を発見する。
ヴィヴィは昨年、このプールで泳いだ時、胸にいっぱいフリルをあしらった水着でぺたんこな胸をなんとかカバーしていたのにも関わらず、匠海に「べーべちゃん」と冷やかされたことを思い出す。
(私、昨年から胸、ちょっとしか成長してない……)
AからBになったそれをちらりと見おろし、ヴィヴィがとほほと呟く。