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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第58章
もう一杯持ってきてくれたミルクのグラスをがっと掴むと、
「こんにゃろぉ……見てろっ めちゃくちゃナイスバディーになってやるっ」
と日本語で呻り、またぐびぐびとミルクを飲み始める。
「ヴィヴィっ! ちょっ、お腹壊すってっ!!」
隣のサラが慌ててヴィヴィを止めようとするが、
「ほっといて~っ! ヴィヴィは、今、飲みたい気分なのっ!」
と静止を振り切って、再度グラスに口を付けようとする。
「お~、ヴィヴィ。そんなに飲みたいのなら、リンゴ酒飲むか?」
離れたところに座っていたダニー叔父さんが、グラスを持ち上げて面白そうにヴィヴィをからかってくる。
「飲むっ! もう、この際、ミルクでも何でもいい~っ!」
ヴィヴィはそう無茶苦茶な事を言って立ち上がり、ダニー叔父さんのところまでずんずん歩いていく。
新しいグラスを手渡され、それにリンゴ酒を注いで貰おうとした時、
「馬鹿。いい加減にしろ」
そう叱責され、呆れた表情の匠海にグラスを取り上げられたヴィヴィは、きっとその顔を睨み上げる。
「お兄ちゃんには、関係ない!」
「……ああ、もう」
日本語で噛み付いたヴィヴィに、匠海は面倒臭そうにそう呟くと、ひょいとその躰を肩に担ぎあげた。
「な……っ!?」
「すみません。この酔っ払いを部屋に閉じ込めてきます」
面白そうにヴィヴィを見ていた親族にそう断ると、匠海はさっさとダイニングから出ていく。
「ちょっ!? お兄ちゃん、降ろしてっ!!」
荷物のように肩に担がれたヴィヴィは、そう言って反抗するが、
「五月蠅い、黙れっ!」
と匠海に一喝され、びくりと体を震わせた。
静かになったヴィヴィを担いだまま、匠海が3階まで階段を昇っていく。
さすがにヴィヴィも、その間は落とされるのではと思って怖くて何も出来なかったが、3階についた途端、堰を切ったように喚き始める。
「もう、降ろしてってばっ! ヴィヴィの体に触らないでっ!」
(こんな貧相な体、触らないでってば!!)
「別に触りたくて、触ってるんじゃない」
そう冷たく切り返され、ヴィヴィはぎくりと体を強張らせた。
「………………っ」
(それって……つまり……)
大人しくなったヴィヴィをその部屋に運び込んだ匠海は、まるで放り投げるようにベッドに降ろした。