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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第10章           

 剣の舞の出だしの音と同時に、複数人の男達が舞台へと飛び出し、盾と剣を手に激しく踊る。

 盾と剣を激しくぶつける音と、荒々しくジャンプを繰り返して床を踏み鳴らされるドンドンという音が、どこか土俗的な雰囲気を醸し出していた。

「このバレエはまだロシアがソビエトだった時代、集団農場での人々の友情とロマンスが描かれるている。その中でも剣の舞は『クルド人が出陣に際して剣を持って踊る戦いの踊り』を表現している」

「さらにここ、主人公のガイーヌが戦う二人の青年の仲裁としてダンスを踊る。ここは僕のオリジナルだ。作曲者のハチャトゥリアンの特徴として、アルメニアやコーカサス地方の民族音楽を取り入れているんだが、僕もその地方の舞踊からインスピレーションを得ている」

 そう説明した宮田はリンクに戻ると途中から音楽を鳴らし、ヴィヴィも気に入っていた部分の踊りを舞う。

 けれどそれは、自分のものとは明らかにかけ離れていた。

 彼は指先の動き一つで、視線一つで周りのものを自分に惹きつける魅力を持っていた。

(くやしい……私も、あんなふうに踊りたい――)

 ヴィヴィは膝の上で握りしめた拳に力を籠め、心の底からそう願った。







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