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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第58章
(ふんだ。もう、ヴィヴィ、お兄ちゃんのことなんか、好きじゃないんだから。
もう忘れるんだから。
だってお兄ちゃんを好きでいても、全然楽しくないんだもん。
泣いてばっかだもん。
ヴィヴィを傷つけることばっかり言うし。
お兄ちゃんを好きでいるメリットなんて、これっぽっちもないんだものっ!)
ヴィヴィはそう心に決めると、ばちっと音がしそうなくらい勢いよく瞼を開いた。
「クリス! ヴィヴィ、生まれ変わる! これからは、☆新生ヴィヴィ☆ になるのっ!」
そう勢いよく訳の分からない事を言ってくるヴィヴィに、クリスは呆気に取られていたようだが、
「はあ……? まあ、よく分からないけど、頑張れ。ヴィヴィなら、出来るよ」
と一見無責任にも聞こえる力強い返事を返してくれた。
「うんっ! 取り敢えずは、スケートと受験勉強! 両立乗り切ってやるっ!!」
一人車内で拳を作ってそう叫ぶヴィヴィに、母ジュリアンがぼそりと一言。
「五月蠅い……」