この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第59章      

 バレエ『牧神の午後』を模し、首や手首のぎくしゃくとした動きで平面的に見せてはいるが、そこにモダンバレエのレッスンで培った、伸びやかさ、力強さが加味され、クリスにしか表現できない世界が出来上がっていた。

 さすがに牛柄の前身タイツは着なかったが、胸から下を半獣のように表現した、体にフィットした白黒のウェアに身を包んだクリスの演技は、ヴィヴィには古代フレスコ画の如き美しさとして映った。

 一方のヴィヴィはと言うと、FPで3回転アクセル2本を入れることに決定し、前向きに挑んだ。

 一本目の単独の3回転アクセルは無事着氷。2本目の3回転アクセルと3回転ループのコンビネーションは、アクセルが両足着氷で体勢を崩しながらも、なんとか続けてループも飛び……。しかし着氷後の流れが止まるという結果で、終わってしまった。

(ま……、ジャンナの振り付けは物凄く高く評価されたし、スピンやステップのレベルの取りこぼしもほぼ無かったし……想定の範囲内……?)

 ヴィヴィはそう冷静に評価していたのだが、世間はそうは許してくれなかったようだ。

『やはり、篠宮選手、3回転アクセル不調!』

『伝家の宝刀・アクセルは両刃の剣!?』

と翌日からマスコミでは取り上げられていた。

 正直これにはヴィヴィも困り果てて、周りの期待に応えられていない自分が不甲斐なくて、落ち込んだのだが、

「有名税っていうの? こういうのは一流選手なら誰でも通る道よ。まあ、叩かれてる訳ではないしね」

とジュリアンのフォローもあり、何とか気持ちを立て直した。

 そして、ジャパンオープンの翌週に受けた、予備校の模擬試験・全国統一高校生テストでは、クリスの想定よりもヴィヴィは順位が高かった。

 ヴィヴィは、こういうことからも『努力はきっと報われる』と力を貰ったりもした。








/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ