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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第60章
手早く髪を洗うと、ボディーソープを泡立て、今日酷使した細い体を清めていく。
その手が小さな胸の尖りに触れた途端、ヴィヴィの恥ずかしいところがきゅっと疼いた。
「―――っ」
(も、う……やだ……)
ヴィヴィはぐっと唇を引き結ぶ。
考えないように何も感じないようにしているのに、自分の脳は正直で、ずっと匠海とのセックスをぐるぐる思い出しては、その躰を心を、熱く火照らせていく。
(だって、好きなんだもん……。愛してるんだもん……。
エッチにもなるよ……。
だって、ヴィヴィ、やっぱりお兄ちゃんに、抱かれたいもん……)
ヴィヴィは勝手に火照って敏感になってしまった躰を何とか洗い終えると、バスローブを纏い部屋へと戻り、大きな鏡のあるデスクの前に腰を下ろし、髪を乾かす。
(でも、からかわれてるんじゃ、なかったら……?
本当に、直接的に誘われたんだとしたら……?)
その自分にとって都合の良い方向へと導こうとする思考に、ヴィヴィは乾いた頭をふるふると振る。
化粧水を手に取り、頬を包み込む。
(お兄ちゃんが、どうしてヴィヴィを誘うの……?
『棒っきれ』とまで言われたのに……。
『触りたくて、触ってるんじゃない』とまで言われたのに……。
何、期待して……)
ヴィヴィは立ち上がると、下着を着け、紺色のワンピースに袖を通す。
(お兄ちゃん、もしかして……、今、彼女いないのかな……。
相手がヴィヴィでも、いいやって思ったのかな……。
ヴィヴィでも『性欲処理』の相手になるって、思ったのかな……)
シャツワンピースの前ボタンを留め終わり、ヴィヴィがぎゅっと薄い唇を噛む。
(それでも……いい。
お兄ちゃんに抱いて貰えるんだったら、
ヴィヴィは、それでも、いい……)
「………………」
ヴィヴィはデスク上の時計にさっと視線を移して時間を確認すると、スマートフォンを手にして発信した。
「あ、マム……? あの、ヴィヴィ、ちょっと疲れちゃったみたいで……。うん……。食欲ないの……、うん。もう寝るね。みんなに『ごめんなさい』って言っておいて? ……うん。おやすみ……」
そしてデスクの引き出しから、ホテルのレターセットを探し出すと、一瞬躊躇してから書き始めた。