この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第60章          

(ここまで来ておいて、躊躇するなんて……。

 でも今日を逃すと、次、本当にいつ会えるのか分からないし……。

 そ、そうだ!

 お兄ちゃんがいなかったら、諦めて帰ればいいんだ!

 だって、近くに飲みに行くって言ってたし!

 そうだ……それなら、今日のところは諦めて――というか頭を冷やして、

 自分の部屋に戻れる……)
 
 ヴィヴィはそう決心をすると、ごくりと唾を飲み込む。

 そして震える指先に叱咤を打ち、インターフォンのボタンを押した。

(お、押しちゃった……。って言うか、今、音鳴った!?

 なんか、ブーって微かに聞こえた気はするけど……)

 もう一度押そうかと焦ってインターフォンに指を添えた時、ガチャリと鍵を開錠する音がした。

 そしてゆっくりと、内から外へと扉が開かれる。

 そこには、兄の部屋なのだから当たり前なのだが、匠海が立っていた。

(い……いた……)

 20センチ上から見下ろしてくる匠海に、ヴィヴィの鼓動がこれ以上ないほど跳ねる。

 そしてその匠海はと言うと、少し驚いた表情でヴィヴィを見つめると、口を開いた。

「ヴィヴィ……? あれ? 食事会はどうした?」

「………………」

 ヴィヴィはその場に固まってしまい、当惑した表情で匠海を見上げることしか出来なかった。

「どうした? 俺に何か用だったか? ……ヴィヴィ?」

「………………」

(ど、どうしよう……まさか、いるなんて……。

 いや、いるだろうから、来たんだけど……っ。

 な、何て言えば、お兄ちゃん、中に入れてくれるかな……?)

 頭が混乱し、自分の無計画さとあまりの恥ずかしさに、頬が赤く染まっていく。

 匠海はそんなヴィヴィの様子をじっと見つめてきたが、やがてその表情が硬いものへと変わっていく。

「……ヴィクトリア……?」

 いつもより少し低く冷たい声に、ヴィヴィの躰がびくりと戦慄く。

(……お兄ちゃんが、ヴィヴィのこと……『ヴィクトリア』って、呼ぶときって……)

 ただ匠海を見上げることしか出来ないヴィヴィに、匠海は小さく嘆息した。

「ヴィクトリア……。女の子がこんな時間に、一人で出歩くな。日本じゃないんだぞ?」

「………………っ」

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ