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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第60章
(おねだり……?)
そのヴィヴィの目と鼻の先で、匠海は言い放つ。
「『ヴィクトリアは近親相姦っていう言葉に、物凄く濡れちゃうんです。
血の繋がった実のお兄ちゃんのおちんちんで、
妹の厭らしいおまんこをイかせてください』って、おねだりしろ」
信じられない猥雑な言葉を口にした匠海に、ヴィヴィがかっと瞳を見開く。
そしてその顔はくしゃりと歪められ、小さく横へと揺れる。
「……ぃやぁっ……」
「我が儘言うな。ほら、おねだりしろよ。可愛らしいその唇で、まるで男なんて知りませんってその清純ぶった童顔で、淫乱女丸出しのおねだりしてみろよ」
「やだぁ~っ、やだ……っ」
ヴィヴィはもう匠海のそんな言葉を聞きたくなくて、両手で耳を塞いで必死に嫌がる。
「さっきは好きもの呼ばわりされてもいいって、言ってただろ?」
「やだっ もう……っ いやぁっ」
ヴィヴィは弱々しくそう言うと、ぐしゃぐしゃになった金髪を顔に張り付けながらぼろぼろと涙を零した。
(どうして、そんな事を言うの……?
もう、ほんと、ヴィヴィ、お兄ちゃんのこと、分かんないっ。
さっきまでは優しかったのに、愛おしそうに触れてくれたのに、どうしてっ!?
もう……これ以上、お兄ちゃんに嫌われたくないの。
そんなはしたないことを口にしてしまったら、
もう本当に、心から幻滅されてしまうっ)
静かに涙を溢すヴィヴィに、匠海はちっと舌打ちをした。
「お前はホントに、甘ったれだな……。泣けば全てが許されて、周りが助けてくれると思ってるんだろ?」
「………………っ」
(もう、いや……っ)
ヴィヴィはもう何も聞きたくないと、耳に添えた両手にさらに力を籠め、ギュッと体を縮こめる。
兄妹の間に、静寂が下りた。
それは数十秒だったのかもしれないし、もしかしたら数分だったのかもしれない。
ヴィヴィは匠海からぶつけられる言葉が恐怖でしかなく、ずっと耳を塞ぐことしか出来なかった。
しかしその静寂を破ったのは、匠海だった。
匠海はヴィヴィの両手を掴んで、その押さえていた耳から外す。
そしてその両手を自分へと引っ張り、胸の中にヴィヴィを抱き込んだ。
ヴィヴィはいきなりの事に訳が分からず、匠海の胸の中で身を固くする。