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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第60章          

「や、めて……どうして……? どうして、そんな酷い事っ 言うのっ!?」

 ちゃんと冷静に匠海に訴えたいのに、声が震えて、悔しさで喉がつかえて、もどかしい。

 ヴィヴィは必死に、上に覆いかぶさっている匠海を見つめる。

「ヴィヴィは、ちゃんと言ってる……っ

 ちゃんと『お兄ちゃんしか欲しくない』って言ってるっ!!」

 匠海の言葉に心底傷き、ヴィヴィの灰色の瞳の上にみるみる涙が盛り上がる。

(酷いよ……、いくら、ヴィヴィを『復讐』の道具としてしか見てなくても、

 クリスとそういう関係になれだなんて、酷過ぎるよ――っ!)

「……っ ふっ ぅっ ひっくっ」

 ヴィヴィは震える両手で自分の口を覆うが、それでも堪え切れない嗚咽が、その指の間から漏れ落ちる。

(もう……、いや……。こんなに酷いこと言われて、

 それでもお兄ちゃんの事、嫌いになれない、自分が、本当に、嫌……)

 ぼろぼろ溢れ出す熱い涙が、目じりからこめかみを伝い落ち、枕をぐっしょりと濡らしていく。

 嗚咽が酷くなり、ヴィヴィの薄い胸が大きく痙攣する。

 そこでやっと、妹の中から自分の陰茎を抜き取った匠海から、ヴィヴィは躰を捩って逃げる。

(好きなの……。分かって……。

 お兄ちゃんことだけ、好きなの……。

 他の誰でもない、お兄ちゃんだけしか、ヴィヴィは愛してないのっ)

 華奢な躰をくの字に折り曲げたヴィヴィに、匠海が腕を伸ばしその金色の頭を撫でる。

「ごめん……ヴィクトリア……。本当に、悪かった……」

 自分の目の前で震えながら泣くヴィヴィに、匠海がそう静かな声を掛けてくる。

「………………」

「悪かった……本当に。虐め過ぎた……」

 匠海がそう呟きながら、ヴィヴィの頭を撫で続ける。

「俺も、まだまだガキだな……」

 そう一人ごち、はぁと深い溜め息を溢した匠海に、ヴィヴィは掠れた声で言い募る。

「……お願い。……もう二度と、そんなこと言わないで……お願いっ」

 ヴィヴィが匠海に抱かれて乱れ、それをどれだけ口汚い言葉で詰られてもいい。

 なぜならそれは、本当の事だから。

 紛れもない、事実だから。

 けれど、匠海以外の男とも同じ事を強要されるのだけは、耐えられなかった。

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