この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第60章          

「分かった。泣くな、ヴィクトリア……ごめん……」

 匠海は最後にそう謝ると、ヴィヴィの躰をゆっくりと抱き上げ、自分の胸の中に抱き寄せた。

 初めは強張っていたヴィヴィの躰が、匠海に優しく抱きしめられるうち、徐々に柔らかくなっていく。

「お兄ちゃんだけ、だよ……?」

 匠海の胸に頬を寄せながら、ヴィヴィがぽつりと呟く。

「ああ」

 そう返してくれた匠海は、ヴィヴィの髪を撫でながら、そこにチュッとキスを落としてくれる。

「ヴィヴィはずっと、お兄ちゃんだけのもの、なんだから……」

 ヴィヴィは念押しをするように、再度呟く。

 匠海に解って貰えるまで、これから何度でも言葉にして伝えていこうと思う。

 涙はいつの間にか止まっていた。

 そんなヴィヴィの顔を、匠海が上から覗き込んでくる。

「分かった……」

 その呟きと共に、匠海の厚めの唇がヴィヴィの薄い唇に吸い付き、軽く食んで離される。

 ヴィヴィは震える瞳で匠海を必死に見上げたが、その視線があまりに真剣すぎたのか、匠海はふっと苦笑し、妹の瞼の上にも口付けを落とした。

 くすぐったそうに瞳を細めるヴィヴィを、匠海が覗き込む。

「分かった……、分かったよ……。ヴィクトリアは『俺だけのもの』だよ」

 そう、ちゃんと自分の瞳を見つめながら口にしてくれた匠海に、ヴィヴィの潤んだ瞳が震える。

「ほ、本当……?」

「ああ」

「も、もう一度……、もう一度言って……?」

 ヴィヴィはそう言うと縋り付くように、必死に匠海を見上げる。

 匠海は一瞬嫌そうに眉を潜めたが、あまりにもヴィヴィの様子が必死すぎたからだろうか。

 やがて、静かに口を開いた。

「ヴィクトリアは、俺だけのもの――。

 お前を、絶対に誰にも渡さない。

 お前が、他の誰かを見るのも、絶対に許さない」

 匠海はヴィヴィの瞳をちゃんと見つめながら、そう言葉にしてくれた。

「………………っ」

(う、そ……。お兄ちゃん、が……? そんなっ ……嘘っ)

 ヴィヴィはあまりの驚きで、引き結んでいた唇が開いてしまった。

「うそ…………」

 そのまま心の声が漏れてしまったヴィヴィに、匠海が苦笑する。

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ