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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第61章
一旦ベッドサイドのデスクにそれを置いた匠海は、ベッドの上でふにゃりと弛緩したヴィヴィの躰を大きな白いバスタオルで包んで抱き上げ、ベッドヘッドへとその上半身を凭れ掛けさせた。
そしてその下半身の上に、羽毛布団と固めの枕が乗せられ、大きな皿に盛られたサンドウィッチが置かれた。
「オレンジジュースでいいか?」
「え……? う、うん」
匠海はワゴンに戻り、カラフェに満たされたオレンジジュースをグラスに注いで戻ってくる。
「ほら、食べろ。全部食べろ」
「そ、それは無理かと……」
どう見ても2人前はあるそれを見て、ヴィヴィはそう呟き、手渡されたジュースに「ありがとう」とお礼を言うと、ストローで喉を潤す。
「いつの間に、ルームサービス、取ったの?」
隣に腰かけた匠海に、ヴィヴィが尋ねる。
「お前を起こす、少し前くらい」
「全然気づかなかった。ありがとう、お兄ちゃん」
「いいから、食べろ。ほら……」
匠海がそう言って、サンドウィッチを摘まんでヴィヴィの唇に触れさせる。
思わずぱくりと食いついたヴィヴィに、匠海が苦笑する。
「お前……一昨日のディナーといい、餌付けされすぎだろ」
「……むぅ……」
ヴィヴィは匠海の手から食べかけのサンドウィッチを受け取ると、小さく唸る。
一度食べ始めたらどんどん空腹感が増し、ヴィヴィは匠海が見守る中、皿の1/3をぺろりと平らげた。
(お、落ち着いた……)
ヴィヴィは匠海に再度手渡されたジュースを飲むと、ちらりと隣の匠海を見上げる。
「なんだ?」
「ううん……」
恥ずかしそうに視線を外したヴィヴィの顎を、匠海が指先で捉え、自分のほうへと向ける。
「んっ」
ぺろりと唇を舐められたヴィヴィは、小さく肩を震わせた。
「パン屑、付いてた」
「………………」
そのまま固ってしまったヴィヴィの金色の髪を、匠海が指先で梳いてくる。
(お、お兄ちゃん……。今日、どうしちゃったんだろ……)
自分が匠海に告白する前でさえ、こんなにも兄に構われたことはなかった。