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第61章 　 　 　　

　そしてその華奢な腰を後ろから両手で掴まれたヴィヴィは、心細そうな声を上げた。

「後ろ、怖い……。お兄ちゃん、見えなくて……」

「俺がちゃんと見ててやるから、大丈夫。ここ握ってろ」

「う、うん……」

　ヴィヴィがそう答えると同時に、匠海は後ろから妹を貫いた。

「ふっ　あ、あぁん……っ」

　さんざん焦らされたヴィヴィの蜜壺が、嬉しそうに蠢き、匠海の昂ぶりを包み込む。

「いいよ、ヴィクトリア、凄くっ」

　匠海は少し掠れた声でそうヴィヴィを褒めると、ゆっくりと動き始めた。

（ヴィヴィも、気持ちいい……っ　お兄ちゃんの、沢山……。

　気持ち、いいけど……でも……）

「……ふ、ぅうっ　ぁ……、ふぅぁ……」

　白くてしみひとつない小ぶりなお尻を突き出す格好で、匠海に貫かれていたヴィヴィからは、何故か押し殺したような苦しそうな喘ぎが零れる。

「ヴィクトリア……どうした？」

　ヴィヴィのその様子に異変を感じた匠海が腰を止め、腕を伸ばしてヴィヴィの顎を指で掴み、後ろを向かせる。

　その妹の顔は悲しそうに歪み、灰色の瞳からはぽろぽろと涙が零れ落ちていた。

「なんで泣く……？」

　匠海は少し驚いたようにそう言うと、ヴィヴィの蜜壺から陰茎を引き抜く。

「どこか痛いか？　それとも無理させた？」

　折ったままだった上半身を抱き上げられ、その顔を覗き込まれたヴィヴィは、悲しそうに視線を落としたまま弱々しく呟く。

「……ヴィヴィのこと、見て、くれないと……やっ」

「え？」

　匠海が両手の中のヴィヴィの顔を食い入るように見つめているのが分かるが、ヴィヴィは視線を合わせられなかった。

（分かってるの。『ヴィヴィはお兄ちゃんのもの』だから、

　お兄ちゃんが抱きたいように抱かれなきゃいけないって……。

　でも、やなの……。

　さっきもベッドで、ヴィヴィの顔見ずに、後ろから抱いてた。

　怖いの……。

　ヴィヴィの顔を見て、ちゃんと『ヴィヴィを抱いてる』って思ってくれないと、

　嫌、なの……。だって――）

　自分の置かれた立場を理解している自分と、それでも理解したくないと思っている我が儘な自分との狭間で、ヴィヴィの心は揺れ動いていた。