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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第61章       

 匠海はヴィヴィの膣壁をごりごりと音がしそうなほど突き上げると、やがて息をのんで停止し、瞬時にヴィヴィの膣内から陰茎を引き抜いた。

「あぁっ ……――っ」

 匠海が苦しそうにも聞こえるその喘ぎを漏らした直後、ヴィヴィは薄い腹に、熱い何かを感じ取った。

 けれど匠海が達する瞬間の顔を、まるで縋り付くような瞳で見つめていたヴィヴィには、それを視覚で確認することは出来なかった。

(お兄ちゃん、苦しそうなのに、物凄く満ち足りた目、してた……。ずっとヴィヴィの事、見てくれてた……)

 目の前で荒い息を吐く匠海に、ヴィヴィはぎゅっと抱き着く。

 熱く火照り、少し汗ばんだその躰も、若干震えている広い背中も、自分が匠海にそうさせたのだと思うと、より一層愛しくて、何故だか可愛らしくも思えた。

「すきぃ……。大好き……」

 甘ったるい声音でそう言って甘えるヴィヴィを、匠海がその大きな掌と力強い腕で、抱きしめ返してくれる。

「ヴィクトリア……」

 そう溢された匠海の声は、ヴィヴィには物凄く愛おしそうなそれに聞こえた。

(大好き、お兄ちゃん……。愛してる……)

 幸せに瞳を細めて匠海に身を委ねていたヴィヴィを、兄がゆっくりと自分の胸から離し、その顔を覗き込んでくる。

「残念そうな顔して……」

「……え……?」

(残念……?)

 ヴィヴィは何の事か分からず、小さく首を捻る。

「お前、中に出されたかったんだろ?」

「……――っ」

 咄嗟に息を呑んで匠海を見返すヴィヴィに、兄は意地悪そうに嗤う。

「気づいてなかったのか? ヴィクトリア、イった直後からずっと、俺の腰に両足絡ませて、なかなか離してくれなかったんだぞ?」

「う、嘘……っ」

 全く覚えてない事実に、ヴィヴィは小さな反論の声を上げる。

 でも思い返してみれば、確かにあの時のヴィヴィは、匠海に中に出されることを心待ちにしていた。

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