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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第61章
(だ、だってこれ……ヴィヴィが、お兄ちゃんに酷い事したとき、お兄ちゃんに取り上げられて……)
「……『ヴィクトリアは俺のもの』なんだろ?」
「え……? う、うん……」
匠海のその確認に、ヴィヴィはよく分からなかったが素直に認める。
「首輪がわり」
(……うそぉ……っ お兄ちゃん……好きっ!)
「……――っ うんっ!!」
ヴィヴィは大きな瞳を輝かせ、目の前の匠海の胸に文字通り飛びついた。
「懐くな」
そうつれない事を言って眉をしかめた匠海に、ヴィヴィはにっこり笑ってみせると、その胸に顔をうずめる。
「ワンワン、ごろにゃん、ブヒブヒ」
何故か動物の鳴き声を嬉しそうに真似するヴィヴィに、匠海が、
「……ブヒブヒ?」
と不思議そうに聞き返してくる。
「ミニブタさん」
(『懐くな』って言えば、ペットかな~っと思って)
そういえば昔、匠海に『Kitty(子猫)みたい』と言われたことを思い出しながら、ヴィヴィは兄を見上げて笑う。
「馬鹿……」
そう言って苦笑した匠海の表情に、ヴィヴィは文字通り胸キュンした。
「お兄ちゃん、チューしてもいい?」
「調子に乗るな」
ヴィヴィの申し出に、匠海が少し瞳を眇めて見下ろしてくる。
「え~……。じゃあ、猫みたいに、鼻チューは?」
「鼻?」
不思議そうに聞き返した匠海に、ヴィヴィはめいいっぱい背伸びをして、兄の高い鼻先に自分のそれを擦り付けた。
「うふふ」
鼻を離したヴィヴィは、そう言って匠海の目の前で嬉しそうに微笑む。
「馬鹿……。足りない」
そう呟いた匠海は、ヴィヴィの腰を捕らえて持ち上げるとその唇を奪ってきた。
ヴィヴィも匠海の首に腕を絡ませ、心を籠めて兄の口付けに応える。
いつの間にか大理石の洗面台に座らされていたヴィヴィは、匠海の深いキスを角度を変えながら何度も受け止め、身も心も歓喜で打ち震えた。
(夢、みたい……お兄ちゃんが、ヴィヴィのこと見てくれて、
『女』として優しくしてくれて……)
やがて唇を離した匠海は、ヴィヴィの腰の横に両腕を付いてまるでそこに閉じ込めるように覆いかぶさると、ふと思い出したように妹を見下ろしてくる。