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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第62章
匠海のホテルから自分ホテルへと戻り、仮眠を取ったヴィヴィは、8:30にはホテルのレストランで家族と顔を合わせていた。
「あら、それだけでいいの?」
ビュッフェスタイルの朝食で、フルーツとヨーグルトを選んできたヴィヴィに、母ジュリアンが不思議そうに尋ねてくる。
「うん。明け方にお腹空いて、ルームサービスとっちゃったの」
「そう。食欲戻ったのね。よかったわ」
ジュリアンがほっとした表情でヴィヴィに微笑んでくる。隣に座ったクリスも「心配、した……」とヴィヴィの顔を覗き込んでくる。
「ごめんね?」
そう言ってクリスに謝れば、何故か手にしているデニッシュを一口ちぎって、口の中に押し込まれた。
(あ、甘い……)
洋梨の乗ったそれをもぐもぐ咀嚼して飲み込んだヴィヴィは、紅茶を一口飲みまた口を開く。
「あ……あと……」
そう切り出したヴィヴィに、ジュリアン、クリス、そして匠海が自分に注目した。
「ヴィヴィ……、お兄ちゃんと仲直りしました。色々心配とか迷惑とか掛けて、ごめんなさい……でした」
ヴィヴィが母とクリスに、ぺこりと頭を下げる。
「良かったね……」
クリスはそう言うと、横に座ったヴィヴィの頭を撫でてくれる。
「うん」
「結構長かったわよね~? 第二反抗期、だったのかしら?」
とジュリアンが首を傾げれば、
「ヴィヴィは第一反抗期、酷かったからな~」
と匠海が続ける。
「第一反抗期……?」
不思議そうに呟いたヴィヴィに、ジュリアンが苦笑して説明する。
「3歳の頃ね。何でもかんでも『イヤイヤ!』ばかり言って反抗するから、『何なんだ、このちっこい悪魔はっ!?』て、みんな振り回されてたのよ?」
「ふ~ん。覚えてない」
さすがに3歳の記憶はないぞ……とヴィヴィは心の中で思う。
「まあうちはグレコリーが子育て積極的過ぎる位だし、使用人もいるから助けてもらえて、私自身はそんなに大変でもなかったんだけどね」
ジュリアンが昔を懐かしむように瞳を細め、ヴィヴィを見つめてくる。
「朝比奈も、ちょうどその頃からうちに来て、双子付きになったしね」と匠海。