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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第62章
「幸運のお守り……。ヴィヴィ、これ付けてると、プレッシャーとか軽減されるみたい」
「そうか。それは良かった」
匠海はそう言うと、ヴィヴィの金色の頭をよしよしと撫でてくれる。ヴィヴィは嬉しくなって、さらに言い募る。
「うん。お兄ちゃん、あのね――」
「あ、ヴィヴィ! ヴィヴィもお手洗い~?」
そうヴィヴィに声を掛けてきた人物をヴィヴィがさっと振り向き、それと同時に匠海がヴィヴィの頭から掌を引いた。
「あ、マリア……。うん、そう」
「ヴィヴィ達のお兄さんですよね? 初めまして、マリア渋谷です」
マリアはそう言うと、匠海に向き直りお辞儀をする。匠海も長身の腰を折り、マリアに返す。
「初めまして。いつも弟と妹がお世話になってます」
「あ~。ヴィヴィはホテルで同室になった時は、お腹出して寝てるのを直したりと、まあお世話してます」
「お、お腹なんか、出さないもんっ!」
お兄ちゃんの前で、なんてことをっ!? と、ヴィヴィが焦ってマリアにそう言い返せば、
「出してます~ぅ」
とマリアにおちょくられる。
「たぶん出してるんだよ、ヴィヴィの事だから……」
何故か匠海にまでそう断定され、ヴィヴィは少しだけむくれた。
「あはは。お兄さん、分かってる~」
「これからも双子がご迷惑掛けるだろうけれど、よろしくお願いします」
明るく笑っているマリアに、匠海は保護者然としてそうお願いすると、マリアはにっこりと兄に向って笑った。
「は~い。任されました」
「じゃあな」
匠海はそう言うと、ヴィヴィの頭をポンと撫でて行ってしまった。
女子二人で連れ立って化粧室へと入った途端、マリアが瞳を輝かせてヴィヴィを見つめてくる。
「ヴィヴィのお兄ちゃんって、マジでかっこいいね! 美形だし、長身だし、声もいいっ! 紹介して~っ!!」
「い・や・よっ!」
ヴィヴィは唇を尖らせて、マリアのお願いを却下する。
「なんで~? 代わりにうちのお兄ちゃん、紹介してあげるよ~?」
マリアのその言葉に、ヴィヴィは反論する。
「アルフレッドは紹介してもらわなくても、ヴィヴィ、知ってるもん!」