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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第62章
エレベーターへと乗り込み、客室の階へと向かう中、ヴィヴィはバックの中のスマートフォンをちらりと確認する。
(着信も、メールも、ない……)
「………………」
ヴィヴィのワンピースの中の薄い胸が、ぎゅっと絞られるように苦しくなる。
(ヴィヴィだけなのかな……。
お兄ちゃんと一緒にいたいって、触れたいって思うのは、
ヴィヴィだけ、なのかな……)
やがてエレベーターの扉が開き、宮平が先を歩いていく。カードキーを使って客室の扉を開けてくれた宮平に、ヴィヴィは小さな声で話しかけた。
「知子ちゃん……あの……」
「ん? どうした、ヴィヴィ?」
ヴィヴィよりも10センチ以上背の低い宮平が見上げてくる様に、ヴィヴィは曖昧に微笑みなら、口を開いた。