この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第63章        

(なんて、色っぽいんだろう。

 なんて、綺麗な人なんだろう。

 なんかヴィヴィ、誘惑されてる気分……。

 あんなに熱い瞳に見下ろされて、まるで見せつけるように肌を晒されて……)

 その白く細い咽喉がごくりと鳴る。

(欲しい……。

 お兄ちゃんが欲しい。

 この男の全てを『自分だけのもの』にしたい――)

 ヴィヴィがゆっくりと、ベッドの上に投げ出していた右腕を持ち上げ、匠海へと伸ばす。

 自分のことを眼差し一つで、天国へも地獄へも堕とすことの出来るその瞳も、

 吐き出す息一つでも自分を翻弄できるその唇も、

 男らしく喉仏が浮き出た首筋も、

 美しい曲線を描く広い肩も、

 張りのある逞しい胸も、

 滑らかで意外と筋肉質な背中も、

 自分を極上の世界へと連れ去ってくれる、その熱い昂ぶりも、腰も。
 
 全て――、すべて自分だけのものにしたい。

 他の女が兄に指一本でも触れると思うだけで、吐き気がする。

 全ての衣服を脱ぎ去った匠海が、小さく苦笑して、ヴィヴィが伸ばした右手を指先で掴む。

 そしてその細く白い指先に、チュッと音を立てて口付けを落とした。

 指先へと落とされていた匠海の灰色の瞳が、ゆっくりと同じ色のヴィヴィのそれへと注がれる。

「……――っ」

 ヴィヴィの華奢な肩が、ぎくりと強張る。

(見透か、された……。

 自分の傲慢で、立場を弁えない願いを、

 お兄ちゃんに、見抜かれた……)

 ヴィヴィの大きな瞳が、心の中の動揺を表すように小刻みに揺れ動く。

 そんな妹を、匠海が唇の端でふっと嗤って見下ろしてくる。

「ヴィクトリア……。俺が、欲しいか?」

 匠海のその声音は、まさに色気が滴り落ちる様な、艶のあるそれ。

「……は、い……」

 ヴィヴィは匠海の男としての魔性に魅入られた様に、半ば上の空で返事を返す。

 妹のその返事に、憑りつかれた様な瞳に、匠海は満足そうに微笑んだ。





「ならば、もっと俺を求めろ……。

 泣いて縋って、足元に跪いて、全身全霊で俺を乞え――」




 
 そう言って、今までに見たことのない程美しく嗤った匠海に、ヴィヴィは灰色の瞳を見開いた。
 
「……――っ」

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ