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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第64章
「お、お兄ちゃん……」
「うん?」
「年末年始……、帰国できそう?」
恐る恐るそう尋ねてくるヴィヴィに、匠海はふっと微笑む。
「ああ。帰る予定だ」
その返事に、ヴィヴィの小さな顔には満面の笑みが広がった。
「ほんとっ!? 嬉しいっ すっごく嬉しいっ!! あ、あの……、いつもごめんね……?」
「何が?」
「お兄ちゃんにばかり、来てもらって……。ほら、パリも、ミュンヘンも……」
(ヴィヴィは試合だから、来てるだけで、お兄ちゃんに会うためには、結局何も自分でしていない……)
MBAの留学の為に英国にいる匠海は、きっとヴィヴィには想像がつかないほど大変な筈なのだ。
留学に加え、英国支社にも出向いて仕事をしている匠海が、どれだけ無理をしてフランスとドイツまで来てくれたのかと思うと、本当に頭が上がらない。
「そんな事、気にするようなことじゃない。同じヨーロッパで近いんだから」
匠海のそんな優しい返事には、妹に対する気配りが沢山散りばめられていて、ヴィヴィは感激で兄の首に縋り付いた。
「うん。ありがとう。お兄ちゃん」
(大好きだよ……)
股の間に座らせた自分をしっかりと抱きしめ返してくれた匠海に、ヴィヴィはうっとりと身を委ねた。
「そんなことより、年末年始……、毎日、抱かせろよ?」
「……え……?」
(ま、毎日……?)
匠海に縋り付いていたヴィヴィが、ぎくりと躰を強張らせる。
「俺がこれくらいで満足してると思ってるのか? 毎日ヴィクトリアのエッチな顔、見たいんだぞ?」
そう少し不満そうに呟いた匠海の腕の中で、ヴィヴィは目を白黒させる。
(こ、これくらいでって……。一体お兄ちゃん、何時間してたいの……っ!?)
「た、体力もつかな……?」
ヴィヴィが恐々口にしたその疑問にも、
「頑張れ」
と匠海は励ますだけで。
「えぇ……」
情けない声を上げたヴィヴィに匠海が苦笑し、抱きしめていた腕を緩めて妹の顔を覗き込んできた。
「というのは冗談で……。パリでもそうだったけど、悪い……、お前にばかり無理させて」
「え……?」
きょとんと自分を見上げるヴィヴィに、匠海がおでこ同士をこつりと合わせる。
「試合直後で疲れてるのに、何度も求めてる」
何度も求めてる、という言葉に、ヴィヴィは頬を赤らめた。