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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第64章
確かに、日本で『復讐』を口にした匠海は、3日間ヴィヴィを抱き続けたが、確か1回/日ずつだけだった。
(そこは、謝られるところじゃないよ……。ヴィヴィ、嬉しいもん……)
「大丈夫! ヴィヴィ、ちょこちょこ寝てるから」
「本当に?」
匠海が心配そうにヴィヴィに確認してくる。
「うん。待ち時間とかに、ホテルとか会場の休憩スペースで仮眠とってるから。それに、ヴィヴィも……その……したいし……」
「何を?」
「え……? その、えっと……」
(そんなの、今さら確認しなくても……っ)
ヴィヴィは焦って匠海から視線を外したが、兄は許してくれなかった。
「ほら、言って。その可愛らしい唇で言って?」
(えぇ~……)
ヴィヴィは心の中でそう困った声を上げたが、結局匠海の求めるように口にしてしまった。
「お、お兄ちゃんと、エッチな事、したいの……」
「……まったく……、いつからそんな、はしたない事を言う子になったんだ?」
せっかく頑張って気持ちを口にしたヴィヴィに、匠海はそう心底呆れたように返してきた。
(え゛ぇ~……)
「俺はそんな風に、お前を育てた覚えはないぞ?」
そう続けた匠海の瞳は、なんだかとても楽しそうだった。
(そ、育てたって……親じゃ、ないんだから……)
「でも、ヴィヴィ、お兄ちゃんに滅茶苦茶甘やかされた覚えはあるよ?」
少し不服そうにそう言うヴィヴィを、匠海が上から見下ろしてくる。
「そうだったか?」
「うん。ダッドは子煩悩だけどやっぱり仕事忙しいし、マムはやっぱり『コーチ』だからね……。ヴィヴィもクリスも、凄くお兄ちゃんに甘えてたじゃない?」
ヴィヴィがそう尋ねると、匠海が昔を懐かしむように瞳を細めた。
「そうだったな……。双子の天使が我先にと、俺に抱っこされに来てたな」
「て、天使……?」
「ああ、もう本当に二人とも可愛かった。クリスは基本ヴィクトリアの傍に居たいのに、お前が俺に付いて回るから、なんだかカルガモの親子みたいになってて」
「あ、それは何となく覚えてる」
ヴィヴィの記憶では、背の高い匠海の後ろを必死に追いかけている自分と、その後ろをひょこひょこ付いてくるクリスが、映像として記憶に残っていた。