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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第64章        

 しかし、匠海はヴィヴィの小さな顔にキスを落としながら、楽しそうに続けてくる。

「ほっぺ真っ赤にして、唇尖らせて、可愛いらしいよ」

「い、い~~や~~っ!」

 あまりの恥ずかしさに、ヴィヴィは涙目になりながら抵抗するが、両手を捕まえられていて逃げることが出来なかった。

 そんなヴィヴィに苦笑した匠海は、「ヴィクトリア」とその名を呼ぶと、ちゅっと妹の薄い唇を奪った。

「これ以上、そんな可愛らしい仕草で、俺を煽らないでくれ」

「……それも、やだ」

 そこだけは冷静に返してきたヴィヴィに、匠海がにやりと嗤う。

「お前……、今から抱き潰すぞ?」

「ひっ!? ごめんなさいっ」

(私にはまだ、エキシビというものが残ってますっ!!)

 そう必死に謝るヴィヴィに、匠海が声を上げて笑った。

「はいはい。じゃあ、そろそろ仕度するか。マムとクリスと、朝食食べるんだろ?」

 そう言ってやっと両手首を解放してくれた匠海に、ヴィヴィは「うん!」と頷くと、最後にもう一度だけその胸に縋り付き、抱きしめてもらったのだった。


















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