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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第65章
「俺、バイクの免許とるっ!」
「バイトしてお金ためて、海外旅行~!」
「大学でサークル入って、合コン三昧だろっ!!」
皆が瞳を輝かせて、未来の自分の理想について話し出す。
それをふんふん頷きながら聞いていたクリスとヴィヴィに、カレンが話を振る。
「双子は?」
その質問に、双子は綺麗にハモって答えた。
「「車の免許取りたい」」
双子の答えに皆が「あ~、いいねえ」等と口々に賛同する。
「え……? クリスも?」
ヴィヴィが隣のクリスを覗き込めば、
「うん。自分で車運転して、リンク行きたい。好きな時間に、帰れるし……」
とヴィヴィと全く同じ意見を返してくる。
「ヴィヴィも、そうなのっ! でも――」
そこで意気消沈してしまったヴィヴィに、マイクが「何だよ?」と続きを促す。
「う、うん……。うちの朝比奈に『早く大人になって、免許取りたい』って言ったら――」
『勘弁してください……。お嬢様が車の免許を取られたら、私や使用人一同は毎日肝を冷やしっぱなしですよ』
『まず、お嬢様は落ち着きがないですから、そこら中で事故られていそうですし、無鉄砲ですから無断外出し放題になりそうで、怖いです』
以前、朝比奈にそう返されたことを皆に説明したヴィヴィに、「確かに、ヴィヴィ一人じゃ怖いかも」と納得されてしまった。
「ちえ~……。皆もそんなこと言うんだ……。だから朝比奈に『免許取れても、クリスかお兄ちゃんに隣に乗ってもらうから』って約束したんだけど。でも、それってさ~」
ヴィヴィがそう言って唇を尖らせると、
「免許取る意味、あんまりないね?」
「っていうか、ほとんどないね?」
と口々に突っ込まれる。
「そうなんだよ……。やる気失せるよ……」
ヴィヴィはそう言って肩を竦めた。
「でも、取るでしょ、免許……?」
クリスのその問いに、
「うん、勿論!」
とヴィヴィは頷く。
「「「結局、取るんかい……」」」
皆にそう突っ込まれ、ヴィヴィは、あはは~と笑ったのだった。