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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第65章        

「昨日までの激戦を振り返り、お二人から一言ずつ、感想を頂けますか? まず、クリス選手」

 女子アナの質問に、クリスが背筋を伸ばす。

「まず、世界フィギュアと四大陸の出場権を獲得して、ほっとしています。4回転も練習の通りに入れられましたし。ただ、FPの得点が出すぎだなと。まあ、国内予選なので、この点数に自惚れない様、精進したいです」

 クリスがそうすらすらと淀みなく答える。

「ヴィクトリア選手はどうですか?」

「えっと、私も兄と同じく、世界選手権と四大陸の出場が決まってとても嬉しいです。特に四大陸は二人とも初出場となるので、ドキドキしています。あと、SPは今回、ステップを少し変えてみて……GOE(出来栄え点)が上がっていて、評価されたのが嬉しかったです」

 ヴィヴィがとつとつとそう答えてにこりと笑うと、女子アナも笑った。

「四大陸は初出場で、世界選手権は前年に続き2連覇が期待されていますが、プレッシャー等は感じていらっしゃいますか?」

「僕は、まったく感じていないです。どれだけ今シーズンの練習の成果が出せるか、楽しみにしています。ヴィヴィは?」

 クリスにそう振られ、ヴィヴィは苦笑する。

「私は、プレッシャーを感じています。やはり今シーズンで一番大きな大会ですので……。でも、シーズン初旬に苦しんだ3回転アクセルを決めて、いいシーズンだったと思い返せるように、頑張りたいです」

 そこでこの番組のメインMCの宮根氏が、尋ねてきた。

「ヴィヴィちゃん。来年の世界選手権は、なんとイギリスなんでしょ? 物凄い嬉しいんと違います?」

 その宮根の質問に、ヴィヴィは破顔する。

「はいっ! 英国での国際試合は本当に数少ないので、ぜひぜひ出たいと思っていて……っ。実は英国の親戚一同からも『ジャンプで転んでも、這ってでもお尻でも滑って、何が何でも出場権を確保しなさいっ!!』と言われていました。そういう意味でも出場出来ることになって、心底ほっとしていますっ!」

 両拳を胸の前で握りしめ、そう興奮して答えたヴィヴィに、スタジオ内から笑いが起こる。

「あはは! じゃあ、イギリスの親戚皆で応援に来てくれはるから、めちゃくちゃ心強いね?」

 宮根の言葉に、双子は大きく頷く。

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