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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第12章
「これはまた意外なお返事でした。しかし、お母様の考えは違うようですよ。お二人にメッセージをお預かりしております。こちらを一緒にご覧ください」
アナウンサーの突然のサプライズに、双子は顔を見合わせる。
(なんだろ……?)
不思議に思ってモニターを見つめると、母ジュリアンが映し出された。
バックは見覚えのある風景――昨日まで戦っていた全日本のリンクサイドだった。
(いつの間にこんなもの?)
『この度は双子でのアベック優勝、おめでとうございます』
『アリガトウゴザイマス』
インタビュアーの祝辞に、ジュリアンが片言の日本語でにっこりと笑って答える。
『残念ながら世界選手権への出場資格はないために、今回は出られませんが、来年への意気込みをお聞かせください』
『来年ハ、OLYMPICスィーズンデス。コレカラデキル限リノPotentialヲ身ニ着ケサセ、必ズ二人共OLYMPICニ出場サセテミセマスッ!!』
((はぁ――――っ!?))
双子は心の中で叫び声でハモる。
そんな事、今まで双子に一言も言ってきたことは無かったのに、コーチのいきなりの爆弾発言――。
「という、お母様でありコーチのジュリアン先生のご意見でしたが、お二人、いかがですか?」
「「初耳です――!」」
見事双子の以心伝心でまたハモって見せたヴィヴィ達に、スタジオから笑いが起きる。
その後、あまり深く追及してこないでくれたアナウンサーに心の中で感謝しながら、ヴィヴィとクリスの出番は終わった。
篠宮邸に辿り着いた時には、後一時間半で日付が変わろうという時間だった。
いつもこのくらいの時間に練習を終えて帰ってくるので夜遅くに慣れている双子だったが、さすがに一日中慣れないテレビ出演を強要されてボロ雑巾のように疲れ果てていた。
クリスに「お疲れ~」と言って自分の部屋に戻った。私室のリビングには二メートル程のクリスマスツリーが飾られている。
毎年自分でオーナメントやリボンを選んで飾り付けし楽しんでいたヴィヴィだったが、今年は朝から晩まで家でゆっくりできる時間がなく、執事の朝比奈が飾り付けてくれたようだ。
可愛すぎない落ち着いたピンク色のベルベッドのリボンが、緑色の葉に映えて素敵だった。
(今年はクリスマスらしいこと、何も出来なかったな――)