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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第65章
そして目の前の匠海は、何故か左右から父と母にシャンパンと赤ワインを注がれ、頑張って飲み干している。
「こんなにお酒飲まされるんだったら、ヴィヴィ、大人になんか、なりたくないかも……」
「以下同文……」
双子が口を揃えてそう漏らすのに気付いた匠海が、少し恨めしそうにこちらを見てきたので、双子は取り敢えず巻き込まれないように目を逸らしておいた。
それから2時間もクリスマスディナーという名の呑み会が続き、夕方までリンクで練習に励んでいた双子は、揃って「「ふわわ……」」と欠伸をした。
「お疲れの様ですね、お休みになられますか?」
そばに控えていた朝比奈のその言葉に、ヴィヴィはちらりと匠海のほうを見たが、まだ両親と呑んだ暮れていたので、
「ヴィヴィ、寝る……」
「以下同文……」
双子はそう言って椅子を引いてもらって席を立つ。
「じゃあね、ダッド、マム、お兄ちゃん。ヴィヴィ達はお先に失礼します」
「……します」
双子のその挨拶に、両親と兄は、
「「「お~や~す~み~」」」
と締まりのない顔で応えたのだった。
(駄目だ、完璧、出来上がってる……)
ヴィヴィはそう思うと肩を竦め、クリスと朝比奈と連れ立って3階へと戻った。
クリスに「おやすみ」を言って別れると、ヴィヴィはバスルームへと入る。
大きな鏡に映った自分は、少し残念そうな顔をしていた。
匠海に喜んで欲しくて選んだ薄紅色の清楚なワンピースも、きっと兄の記憶には残っていないだろう――飲み過ぎで。
「……むぅ……」
(ま、しょうがないか……。お兄ちゃんは、ヴィヴィだけのものじゃないし……。
そして、今日は――無いだろう……。うん……)
ヴィヴィはそう思いながら衣服を脱ぎ去ると、暖かな湯を求めてバスルームの奥へと入って行った。
深夜1時。
深い眠りについていたヴィヴィは、強烈な刺激で覚醒した。
「へ……? ふぅあっ ふぇ……!? あ、ぁあんっ」
まだ重い瞼をぐっと持ち上げたヴィヴィの、その薄い唇の間から、戸惑った声が上がる。
(え……? な、なに……!?)
暖かくてぬめった何かが押し付けられたかと思えば、ひんやりとした何かが肌を擽る。
そして背筋を駆け登って行く様な、ぴりりとした刺激。