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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第66章
(あ、そうか……。ヴィヴィが、スーツ姿のお兄ちゃんに見惚れちゃうみたいに、お兄ちゃんも、このヴィヴィの姿に何らかの感慨を持って見てくれていると……)
ヴィヴィはそう少し強引に納得すると、「コスプレ好きなんだ……」と引いてしまった自分を反省した。
「ほら、ヴィクトリア、俺の事、誘惑してごらん?」
とても楽しそうにそう言ってくる匠海に、ヴィヴィが心の中で肩を竦める。
(はぁ……。えっと……)
「ヴィ、ヴィヴィと――」
そう言いかけたヴィヴィを、匠海が「こらっ」と言って止める。
「あんなに観客の前ではアリスになりきってたのに、なんで『大好き』な俺の前では出来ないんだ?」
「は……っ、恥ずかしさの種類とレベルが、違いすぎますっ!」
(もう――っ!! お兄ちゃん、自分がどれだけヴィヴィから好かれているか分かってるから、こんなこと言ってくるんだ。ずるい……っ!)
そう心の中で叫んで頬を膨らますヴィヴィを、匠海が面白そうに見上げてくる。
そして、その匠海の寛いだ表情に、やはり胸を高鳴らしてしまうヴィヴィも、ここにいて。
(は、恥ずかしいけれど、好きだから……お兄ちゃんに喜んでほしいから……)
ヴィヴィはそう決心すると、両手で水色のスカートを握りしめ、唇を開いた。
「ア、アリスのこと……、か、可愛がって……?」
「もっと、厭らしく!」
頑張って恥ずかしい事を口にしたヴィヴィに、匠海は容赦なくさらに求めてくる。
(うえ゛ぇ~~……)
ヴィヴィは心の中で頭を抱えると、ぐるぐるといろんなセリフを考える。
(「えっちして?」とか? 「いっぱい出して?」とか? 「気持ちよくなって?」とか……? か、勘弁してください……)
行為の真っ最中ならまだしも、まだキスさえしてない今の冷静な自分には、そのセリフはハードルが高すぎた。
今更ながら、自分は結構面倒くさい人を好きになったんだなと、ヴィヴィは自覚する。
そして惚れた弱み――とばかり、握っていた水色のスカートを指先で摘み、ゆっくりと両手で持ち上げたヴィヴィは、下半身を匠海の目の前に晒していく。