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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第66章         

「ああ、素直でいい子だ、ヴィクトリア……」

 そう言って、自分の躰を抱きしめてくれた匠海に、ヴィヴィはゆっくりとしがみ付いた。

「おにいちゃぁん……大好き……」

 甘ったるい声を上げるヴィヴィの耳元で、匠海が悪魔のように囁いた。

「じゃあ、もっと、あげようか?」

 その恐ろしい言葉に、匠海の腕の中のヴィヴィの躰が、これ以上ないというほど脱力した。

「も、もう……本当に、死んじゃう……」

「ふ……しょうがないな」

 妹の死にそうな声に苦笑した匠海に、ヴィヴィは、

「ご、ごめんなさい……」

と謝っておいた。

 その後、濡らしたタオルでヴィヴィの躰を綺麗にしてくれる匠海に、ヴィヴィはうっとりと躰を委ねていた。

(幸せ……お兄ちゃん、すっごく優しい……)

 そんなヴィヴィの片足をひょいと持ち上げた匠海が、口を開く。

「ニーハイ……、まだ、白いのと黒いのあっただろ?」

「え……う、うん」

 ヴィヴィは横たえていた躰をゆっくりと起して、膝立ちの匠海を見上げる。

「また両方、別の機会に履いて、楽しませてくれ」

 そう言って意地悪そうに嗤った匠海に、ヴィヴィは眉を潜めたが、

「え゛~……。は、はいぃ~……」

 そう敗北者のような返事を寄越した妹に、匠海は満足そうに頷いた。

「いい子だ」









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