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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第67章
「マージョラム・スイートは却下」
匠海のその指摘に、特にこだわりのないヴィヴィは、
「え……? う、うん……」
と頷いて、その小瓶を下げる。
「マンダリンは柑橘系の精油で、高ぶった気持ちを鎮めてリラックスさせてくれる香りと言われています。お子様からお年寄りの方まで広く使って頂け、落ち着きがない子供にも効果があると言われているくらい安全です」
美女のその説明に、匠海が、
「じゃ、それで」
と即決する。
「……落ち着きがない、子供だから……?」
ヴィヴィが据わった瞳でそう匠海に尋ねれば、「自覚あるんだ?」と切り返される。
(もう、お兄ちゃんの意地悪……っ!!)
「ヴィヴィ、マグノリアにするもんっ!」
ヴィヴィは唇を尖らせてその小瓶を摘み上げた。
「マグノリアですね? 木蓮の花の甘く豊かな香りは上品で、清楚なお嬢様にピッタリですわ」
美女にそう褒められて極上の微笑みを見せられ、ヴィヴィは毒気を抜かれた。
バスローブに着替えてトリートメントルームに入ると、こちらもガラス張りで、広い室内に据え置かれた2台のベッドの一つには、すでに匠海がうつ伏せになっていた。
漆黒の制服を纏ったエステティシャンが、匠海の施術を始めている。
「お嬢様はこちらへ」
ヴィヴィを担当してくれるエスティシャンが、にっこりと微笑んでもう一つのベッドを示してくれる。
「あ、はい……」
(っていうか、ガラス張りって、外から丸見えなんじゃ?)
ヴィヴィの不安が分かったのか、エステティシャンが説明してくれる。
「大丈夫ですよ。このホテルで使われているガラスは全て、中からは見えて外からは見えない造りになっています」
「そうですか……良かった」
「バスローブを脱いでうつ伏せになって下さい」
「は、はあ……」
バスローブの下は紙のパンツ一枚という情けない恰好なのだが、ヴィヴィはしょうがなくバスローブを脱ぎ、うつ伏せになった。
その間もエステティシャンが大きなタオルを掛けて気遣ってくれるので、そこまでは恥ずかしくもなかった。
(お兄ちゃんもうつ伏せだし……ヴィヴィのことは見えないよね……)
白いタオルが敷き詰められたそこに、ヴィヴィの小さな乳房が潰され、いくら小さいとはいえ、胸を晒しているのに近かった。