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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第67章         

 ヴィヴィはきっと鋭い瞳で匠海を見上げると、苦しそうに口を開いた。

「どんなに痛いことをされてもいい、苦しいことされてもいい……。

 でも、これだけは本当に嫌っ! もう、絶対しないって約束してっ!!」

「……ただの潮吹きだって」

 ヴィヴィが必死に懇願しているのにも関わらず、匠海は嘆息と共にそう呟く。

「ヴィヴィは嫌なの! 凄く気持ち悪かったっ もう、本当に絶対に嫌っ!!」

 匠海の二の腕を握ってそうはっきりと意思表示するヴィヴィから、兄はふっと視線を逸らす。

「お前は『俺のもの』なんだろう……? それ位、我慢しろよ」

「……――っ」

 匠海のその言葉に絶句したヴィヴィは、一瞬の躊躇の後、匠海の股の間から床へと降りた。

 そして、匠海の前で腰を折り、その金色の頭を下げる。

「お願い、します……。お兄ちゃんのことは好きだけど、

 大好きで、本当に愛してるけどっ 絶対に無理です。

 もう生理的に無理なんです。お願いします……っ!!」

 そう懇願して許しを請うヴィヴィに、匠海は興味を無くした様にベッドから床へと降りると、目の前で頭を下げている妹を無視して、窓際へと歩いて行った。

 ゆっくりと頭を上げたヴィヴィは、脱力して目の前のベッドに両手を付いた。

「………………」

(なに……やってるんだろう……、私……。

 こんなところで全裸で、お兄ちゃんに頭下げて……。

 一体……、何が、したいんだろう……。

 もう、本当に……自分も、お兄ちゃんも、分からない……)

 そう絶望的な気持ちになっていたヴィヴィを、匠海が呼んだ。

「ヴィクトリア……こちらへ来なさい」

 俯いていた顔をゆっくりと上げたヴィヴィが、声のしたほうを振り返る。

 視線の先、一面ガラス張りのバスタブの前に、こちらを見た匠海が全裸で立っていた。

「………………」

 ヴィヴィは匠海に逆らえる筈もなく、憂鬱な足取りで匠海のもとへと向かう。

 匠海は目の前に立ったヴィヴィの両脇に手を差し込むと、ひょいと持ち上げて、暖かな湯が張られたその中へと入れた。

 そして自分も湯に入ると、自分の股の間に後ろ向きにヴィヴィを座らせた。

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