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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第68章
「――リア……、起きろ、ヴィクトリア」
深夜12:30。
既に深い眠りに付いていたヴィヴィは、自分を呼ぶ声と肩を揺する掌の感触で覚醒した。
「……おにい、ちゃん……?」
ヴィヴィは霞む目を瞬かせながら、自分を見下ろしてくる匠海らしき人物を見つめる。
「なんで寝ている?」
「……え……?」
(……なんでって……、夜……だか、ら……?)
起き抜けに尋ねられたその問いに、ヴィヴィはぼうとしながらも頭の中で考える。
けれどようやく焦点を結んだその瞳が捉えた匠海の表情に、ヴィヴィはぎくりと躰を強張らせ、瞬時に覚醒した。
(うそ、でしょう……? まだ……、まだ、する、の……?)
匠海の端正な顔に浮かんでいたのは、紛れもない男としての欲情。
その兄が、自分を見下ろしながら、その形のいい唇を開く。
「今日見つけたヴィクトリアの気持ちいいところ、今日はここで『いっぱい』イこうって、言っただろう?」
「………………」
躰を横たえたまま凍りついたように動かないヴィヴィに、匠海が命令する。
「早く来なさい」
「……はい……」
羽毛布団を剥いでベッドから降りたヴィヴィは、その気温差に咄嗟に首を竦めた。
ガウンを羽織ろうかと一瞬迷ったが、やめた。
(どうせすぐ、脱ぐし……)
先に出て行ってしまった匠海を追い、照明の落とされたリビングを抜け、匠海のリビングを通り、その寝室へと入る。
扉を閉めて鍵をすると、振り返ったヴィヴィの視線の先、匠海がベッドに腰掛けていた。
ヴィヴィはゆっくりと傍によると、高いベッドへとよじ登った。
所在無げに匠海を見つめると、ふっと笑われる。
「どうすればいいかは、昼に教えただろう?」
「……はい……」
踝丈のナイトウェアを脱ごうとしたヴィヴィを、匠海が止める。
「脱がす楽しみもあるからな。そのままでいい」
その答えに、ヴィヴィはそのままベッドの上で四つん這いになった。
匠海がぎしりと音を立てて腰を上げると、ヴィヴィに覆い被さってきた。
背中に匠海の胸の暖かさや逞しさを布越しで感じ、ヴィヴィは少しだけほっとする。