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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第68章
(戻る、から……。
『人形』から、体温を持った人間に――
『いつものヴィヴィ』に、戻るから……。
だから少しだけ、一分だけでいいから、『何でも無いモノ』に、ならせて……)
頭の中で誰にか分からないがそう断ったヴィヴィは、自分の折り畳んだ脚にぎゅっと両腕を巻き付け、何かから身を守るように固く躰を強張らせた。
早朝のバスルームにはただ静かな水音だけが響き、やがてその小さな躰は、白い靄の中に掻き消された。