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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第69章
本当は頭の中には「明日の匠海はきっと、こんな幸せを与えてなんてくれないよ?」と言い張る冷静な自分もいるのだが、もうそんな事はどうでもいいとさえ思ってしまう。
外界や人目に晒される外側の自分達の殻も、二人分の体液に満たされ深く繋がり溶け合った内側のそこも、もう一部の隙間もなくぴったりと合わさっている。
馬鹿な自分は、そんなことにさえ「お兄ちゃんとヴィヴィは、こうするために生まれてきたんだ」と思ってしまえる程、幸福なのだから。
「おにいちゃぁん……」
砂糖菓子の様に糖度高め声で兄を呼んだヴィヴィに、匠海がぽんぽんと背中に添えた掌で優しく叩き、あやしてくれる。
「もう、抜いていいか?」
「ダメぇ……」
(ずっと、このままでいたいもん……っ)
ヴィヴィはやだやだと、金色の頭を振って抵抗する。
「しょうがない子だ。でもこのままじゃ、お風呂に入れないぞ?」
匠海のその指摘に、ヴィヴィは不承不承頷いた。
「むぅ……わかった……」
「いい子だ」
そう褒めてくれた匠海を見上げたヴィヴィは、最後にちゅっと兄の唇に吸い付くと、ゆっくりと拘束を解いたのだった。
その後、ヴィヴィの膣に注ぎ込んだものを優しく指で掻き出し、頭も躰も洗い合いっこをした兄妹は、白いバスタブに重なって浸かっていた。
「お兄ちゃんっ」
「ん?」
ヴィヴィを股の間に座らせた匠海が、優しい声でそう返してくれる。
「大好き」
「知ってる」
一笑に付された感があるが、ヴィヴィはくじけない。
背後の匠海を振り返って、ヴィヴィは心からの笑顔を見せた。
「知ってても、言いたいのっ 大好き!」
「はいはい。でもそれよりも、今は相応しい言葉があるんじゃないか?」
その匠海の指摘が直ぐには分からなかったヴィヴィだったが、兄の視線の先、バスルームの時計がもう2時過ぎを指していることに気付いた。
「あ……、明けまして、おめでとう!」
「おめでとう。ふ……、初エッチ、だな?」
顎を指先で引き寄せられ、匠海からもたらされたのは、脳細胞の一つ一つまで蕩けさせられそうな濃厚な口付け。
「うん……」
ヴィヴィはぽ~と匠海に見惚れながら、小さく頷いた。