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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第69章
下から円を描く様に、匠海の逞しいもので蕩けたそこを掻き回され、ヴィヴィの中に大きな嵐が噴き荒れる。
そう、まさに嵐――。
豪雨でぐちゃぐちゃにされ、強風に翻弄されるさまは、それに等しい。
だから、ヴィヴィはそんな嵐の中でなら、こんな世迷言も言ってのける。
「お兄ちゃんっ ヴィヴィを、離さないでっ! ずっと、そばに置いて……っ!」
匠海はそのヴィヴィの懇願に、ふと腰を止めた。
じっと真正面から匠海の瞳に見詰められ、瞬時に正気に戻ったヴィヴィが、文字通り固まった。
「………………」
息を弾ませた二人の吐息だけが、寝室に降りる。
さて、ここで問題です。
嵐が過ぎ去った後に残される物とは、一体何でしょう――?
・どこから飛んで来たか判らない看板?
・無残にも折れ曲がったコンビニ傘?
・道端に吹き溜まった、まだ青々とした葉っぱに、ビニール袋?
「それは、俺の台詞だ――」
にっと嗤った匠海に、ヴィヴィの灰色の瞳が震える。
「……え……?」
正解――嵐はさらに大きな嵐を連れてくるから、
何たりともその場に残さない。
匠海は自分の腰に乗せていたヴィヴィの躰をベッドに横たえると、その上にまた覆い被さってくる。
そして繋いだままの互いの手はそのままに、もう一方の掌も合わせ、ゆっくりと指を絡ませてきた。
両手を絡ませ合い、互いを熱く見詰め合う姿は、まるで本当に蜜月の恋人のよう。
「……――っ!!」
ヴィヴィの小さな顔に浮かんだのは、明け透け過ぎる程の、焦りと戸惑いの表情。
白く小さな胸の奥、締め付けられるような切なさは、成す術も無く放置されるのみ。
そして匠海は、そのままヴィヴィを突き上げ始めた。
「まってっ お兄ちゃんっ 待っ……っ ぁあんっ あっ やぁあんっ はぅう――っ!?」
妹の弱いところを突きながら、時折甘い口づけを与え、耳元でも妹が喜びそうなことを囁き。
自分の持てる全てを駆使して、妹の身も心も翻弄してくる匠海に、ヴィヴィはただ馬鹿みたいに啼き続けた。