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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第13章              

 知らなかった事実をいきなり公表され、双子は自分達の事とは思えず情けない返事を漏らす。

「ソチオリンピック以降、特に女子はスター選手がいなくて、フィギュア人気が低迷しているの。だからスケ連も人気回復に必死なのよ。貴方達を広告塔にしてスポンサー集めをしなければ、フィギュア界存続の危機なの。貴方達もそのつもりで『客寄せパンダ』になりなさい!」

「「ええ゛~~っ!?」」

 実の子供を『客寄せパンダ』呼ばわりするジュリアンに、双子はソファーから腰を浮かせて絶叫する。

「ちょ、ちょっと待ってよマム! いえ、コーチ。ヴィヴィ知ってるよ。マスコミに踊らされて潰れていったスケーター!」

 マスコミに持ち上げられちやほやされて、まだローティーンの子供が自分を保ちながらスケートに打ち込むのは、並々ならぬ精神力がないと無理だろう。

(ヴィヴィはそんなことになるの、絶対イヤっ!! 自分は自分の為にスケートをしているんだから)

「僕だって、嫌だよ……今でさえ、面倒くさいのに……」

 いつもはそんな弱音を吐かないクリスが、珍しく本音を漏らした。

「はいはい、落ち着いて。貴方達の母でありコーチでもある私が、貴方達の才能を潰すようなことをする訳がないでしょう? マスコミには適度に良い顔をし、上手く取り込んでこちらの良いように利用すればいいのよ。スケ連もその辺の過ちは過去に経験しているから、同じ轍は踏まないわよ」

「「………………」」

(し、信用して大丈夫かなぁ……)

 百戦錬磨のマスコミと、まだ世界レベルの生徒は自分達だけの一介のコーチでは、経験値が違いすぎると思うが、ジュリアンは自信満々だった。

「まあ、貴方達が考えている事は大体分かってるわよ。大丈夫。マネジメント会社は、数多くのトップスケーターと契約をしているINGよ――安心なさい」

 INGとは海外のスケーターも日本のトップ選手も契約している、超大手マネジメント会社だった。

 双子はまだ不安いっぱいだったが、言い出したら後に引かないジュリアンの性格を思い出し、顔を見合わせて肩を落とした。

「マネージャーは今日、夕方にリンクで紹介するわね」

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