この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第70章
「はい。いいですよ。髪飾りもお取りしますか?」
草履も脱いで白い肌襦袢だけの格好になったヴィヴィに、朝比奈が終わりを告げた。
「大丈夫。自分でやる。あ、楽器演奏して汗かいちゃったから、シャワーも浴びるね?」
襦袢の袖を掴んでぱたぱたと扇いで見せたヴィヴィに、着物と小物を纏めていた朝比奈が顔を上げる。
「では、お湯を張りましょうか?」
「シャワーで大丈夫。ありがとう」
そう言って微笑んだヴィヴィは、バスルームへと入り扉を閉めた。
紐を解いて肌襦袢を脱ぎ、ブラとショーツになったヴィヴィは、ゆっくりと両腰に指を這わせ、ショーツを下していく。
そこは白い粘液で汚れ、脚の付け根はショーツでは受け止めきれなかった、匠海の白濁で汚れていた。
「何……、やってるんだろう……」
静かなバスルームに、自問自答するヴィヴィの擦れた声が響く。
『はぁ……もう、分かんない……。お兄ちゃんの事、愛してるのに……。
どうしてこんな事、考えてしまうのか……』
今朝、「実の兄である匠海を、男として愛した理由」を考え悩んでいた自分が、兄の寝顔を見ながら呟いてしまった心の声が、ふと脳裏をかすめる。
違う。
本当は分かっている。
気づいている。
自分の中に、戸惑いや迷いが生じてきた事。
汚れたショーツをじっと見つめていたヴィヴィの視線がゆっくりと上がり、目の前の大きな鏡に映る自分に注がれる。
(ヴィヴィ……本当にお兄ちゃんのこと、愛しているのか……
自信が無くなりかけている……)
まるでその心を証明するように、鏡の中の自分は、何故か輪郭があやふやに映って見えた。