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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第70章
(あ……ケイトのカードはいつも凝ってるな~。ふふ、マイクの書道、何書いてあるか分かんない……。あ、結弦君からも来てる。カナダの写真だ……。宮田先生のお子さん、こんなに大きくなったんだ……去年の写真ではあんなにちびっ子だったのに……)
ひとつひとつに楽しい発見があり、ヴィヴィの口元に笑みが浮かぶ。
数十分かけて全てを確認した頃には、黒いシーツの上は年賀状で一杯になっていた。
(ああ……これだから、朝比奈に「将来的にはお片付けも、出来るようになりませんとね?」とか言われちゃうんだ……)
肩を竦めてそれらを拾い集めようとしたヴィヴィの手が、不意に止まった。
「………………」
(そうか、ヴィヴィ……、これだけの人を裏切ってるんだ……)
集めれば10センチ以上の厚みになる年賀状やカード。
それをくれた人々を、皆から寄せられる期待を、確かに今まさに、自分は裏切っている。
ヴィヴィは散らばったカードの上にごろんと頭を乗せた。
固い紙がくしゃりとへしゃげる音がする。
(この上で、お兄ちゃんに抱いて貰おう……)
とてもいい考えだと思った。
きっと匠海は、自分に寄せられた年賀状を見て、妹の行いを詰ってくるだろう。
そして自分は匠海の精と一緒に、躰に『許されぬ罪』を刻み込んで、その身に背負おう。
『お兄ちゃんが欲しいの。
お兄ちゃんの心も躰も、全てが欲しいの。
だからヴィヴィは、罪悪感なんて、感じない……』
ドイツで匠海に抱かれた翌日の朝、母とクリスを目の前に、確かに自分はそう思った。
もう自分は本当に、正真正銘の大馬鹿者だ。
「お兄ちゃん……、早く、帰ってきて……。
早く、ヴィヴィを滅茶苦茶にして……」
ヴィヴィの唇から、擦れた声が漏れる。
匠海の事を考えると、妙に躰が疼いた。
「お兄、ちゃん……早く……」
黒い羽毛布団の中、ヴィヴィの右手が疼くそこへと伸ばされる。
「んっ ふぅ……っ ぁ……んっ」
何もしていないのに潤った蜜壺に、指が一本、また一本と増やされる。
自分でも感じるそこを指で押さえる度に、自分の膣が締まるのが分かった。