この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第71章
自慰と、兄の陰茎を使って快楽にふけるのと、何の違いがあるのだろう。
そう一瞬頭の中に疑問が浮かんだが、それさえも考える気にならなかった。
ただ心の中が空虚で、兄を満足させながら、自分も受け入れる準備を整えなければという使命感だけで、お互いの性器を擦り付けていた。
ヴィヴィが腰を動かす度、その狭く細い背中の上で、絹糸のような髪がさらさらと揺れる。
無心に腰を動かしていたヴィヴィは数分後、匠海の手によって止められた。
「なんだ……? 体調、悪いのか?」
匠海がそう言うのも無理はない。
喘ぎ声一つ上げずに動いていたヴィヴィのそこは、まったく濡れていなかった。
「ううん。もう、入れてもいい? 多分、中は濡れてるんじゃないかと思うの」
後ろを向いたまま、可愛らしく首を傾けたヴィヴィに、匠海が溜め息をついた。
「いや、今日はもういい……。自分の部屋に戻りなさい」
そう冷静な声で命令してきた匠海に、兄の腰の上のヴィヴィの躰がぎくりと大きく震えた。
「……っ いやっ!! ヴィヴィの事、捨てないで……っ!」
そう掠れた声で叫ぶように発したヴィヴィに、さすがに妹の様子が変だと察したらしい匠海が、上半身を起こす。
「ヴィクトリア……?」
匠海のその声に、ヴィヴィははっと我に返った。
(もう……、『自分』をお兄ちゃんの前で、絶対に出しちゃ駄目。
そうでないと、ヴィヴィは本当に、スケートさえも、失ってしまう――)
(そう……初めてお兄ちゃんから『鞭』を与えられた日、確かにヴィヴィはそう決意した筈……なのに……)
「……ごめん、なさい……」
ヴィヴィは自分でも驚いて、ネクタイで拘束された両手で口を覆う。
(ヴィヴィ……何言って……っ)
匠海は後ろからヴィヴィの躰に両腕を回すと、自分の胸の中に抱き込んできた。
「捨てるわけ、ないだろう? お前は『俺のもの』なのに……」
「うん……」
自分を包み込んでくれる大きな胸に、逞しい腕に、暖かな体温に、ヴィヴィの躰はほっとしながらも、その心の奥底では、自分を保つのに精一杯だった。